★DVDにはCD未収録のクインテットによる演奏が2曲追加収録されています。
★ニューヨークでの活動を経て現在は出身地である北九州を主たる拠点として精力的にライヴ活動を行い、過去に発表したセルフ・プロデュース=自主製作の諸作がいずれも高い評価を得ていたモダン・ピアノの才媛:上野香織(1982年福岡県北九州市生まれ)の、第4作となる本盤は、ベース&ドラム&トランペット&アルトサックス(クラリネットも)とのジャズ・クインテットに、大編成の管弦オーケストラを嚙ませた中々意欲的なライヴ編だが、CD版と同時リリースのこちらはその映像・動画が観れる200枚限定生産のDVD版で、CDには収録されていないクインテットの単独演奏2曲が追加収録されている。
★バックのオーケストラが幾分かクラシックに寄った壮大スケールのシンフォニックな音風景を色彩感も満点に、そしてドラマティックに形作る中で、フロントではファンキー・バピッシュなピアノやモーダル・アグレッシヴ(またある時はクール・ジェントル、更には漆黒色のブルージー)なアルト、バップ&ブルース魂の塊のような威勢のいいトランペット、らがひたすらテイスティー・グルーヴィーに華々しい見せ場を飾ってゆく、という、「ジャズ・コンボ+オーケストラ」物の定番から決して外れない娯楽活劇的行き方が貫かれてスッキリと壮快に昂揚させ、旨味たっぷりに愉しませる至って親しみやすい会心打内容。
★オーケストラの精細精確で奥行き豊かな荘厳さ&様式美溢れる響鳴も一定のドラマツルギーをもってムーディーに際立ちつつ、歌心とスイング感を何より大切にしたごくシンプル・ストレートな躍動型リリカル路線の正統らしい、明朗にして雄渾なるメロディック・アクション快演が実にイキイキと開放感一杯に展開してゆき、22分余に及ぶ長丁場で入魂勝負するガーシュウィンの#5辺りでは適度に凝った構造上の新鮮味〜練り上げられ創り込まれた大河ストーリー傾向も認められるものの、大凡のところではオーケストラを嚙ませたジャズ演奏としてはわりかしオールド・ファッションともとれるオーソドックスなアプローチにほぼ終始しており、作劇構成意匠やスコアーを重視してキッチリと"役"を演じる面、並びに自由形っぽく伸び伸びと個性を揮いきる面、を按配よく並立させた上野(p)以下銘々の溌溂たるアドリブ奮戦がフレッシュかつ芳醇に満喫できる寸法だ。
★上野(p)の、例によって「バップ+ファンキー」・タイプの奏法を最たる拠り所として小粋に立ち回る人情節がここでも快調に冴え渡っているが、そうした軽妙洒脱な文体を落ち着いた耽美哀愁ロマンティシズム表現に転用した折り目正しいフレージングに殊の外瑞々しい幽玄を感じさせたり、菊田(tp)の歯切れのいい純正バッパー的ダイナミック咆哮も大いに奮っていたり、浦(as)のオールラウンドだがとりわけキャノンボール・ライクなアーシー・ブロウがイナセの極みだったりと、耳も目も離せぬアジな聴きどころ・見どころが徹底的に続出する。
1. DESTINATIONS (Kaori Ueno) 6:54
2. Swimming Baby (Kaori Ueno) 4:50
3. My Little Sunshine (Kaori Ueno) 5:17
4. Cold Desert (Kaori Ueno) 6:11
5. Rhapsody in Blue (George Gershwin) 22:12
6. L (Kaori Ueno) 3:54
[bonus track]
7. Autumn Leaves (Joseph Kosma) 7:58
8. Black Heart (Kaori Ueno) 9:50
上野 香織 Kaori Ueno (piano, arrangement)
菊田 邦裕 Kunihiro Kikuta (trumpet)
浦 ヒロノリ Hironori Ura (alto saxophone, clarinet)
Barry Stephenson (bass)
Darrian Douglas (drums)
Taichi Sato (conductor)
Yoko Kaku (concertmaster)
Kaori Ueno Jazz Orchestra
2025年11月22日J:COM北九州芸術劇場大ホール(北九州市小倉北区室町1丁目)でのライヴ収録
レーベル:
自主製作
在庫有り
国内自主製作・200枚限定生産DVD