★本邦女性アルトサックスのオールラウンドな人気中堅実力者:守谷美由貴(1976年生まれ、香川県出身)の、永武幹子(p)並びに本田珠也(ds)との各々個別のデュオ演奏3曲ずつが聴かれる、2025年夏(永武編は7月30日、本田編は8月24日)、東京・西荻窪のアケタの店での白熱ライヴ・レコーディング編。
★パンチと弾性に富んだ芯のあるしなやかな鳴り様を呈するアルトが壮烈さを伴って唸り吠えるが如くスピリチュアルに咆哮し、鋭角的キレやソリッド感を有した半パーカッシヴ・タッチのピアノが力学指向の大立ち回り速攻でこれに応える、リズミカルでどこか頓狂なやりとりがあったかと思えば、落ち着いた調子の内側に激しいエモーションを秘めたアルトの作法を違えぬわりかし端正な、しかしヒズみをも含んだ切実なる吹奏に色彩感&ドスを効かせたドラムの猛々しい爆発砲撃がスリリングに絡む雄渾のアクション大会もあったりと、先ず序盤では和流スピリチュアル・ジャズの文脈で道筋が進められるが、その後はより陽気で洒脱なボッサ調やしっとり落ち着いたムードの哀愁バラードも現れたりなど、曲毎に趣向を変えたメリハリある劇的展開で最後までフレッシュに愉しませる快投内容。
★大凡のところ永武(p)とのセッションでは歌物志向っぽいマイルド・メロディックな小粋で優しいアプローチをメインとし(但しスピリチュアル路線の#1のみは結構シリアス)、本田(ds)との共演ではフリー派タイプの自由即興度も高い格闘戦が進められる、というのがあらましで、全体として起伏豊かで剛柔のバランスが上手くとれた構成となっている。
★曲によってサウンドのテイストは刻々変転し、守谷(as)並びに共演者の奏法スタイルも多様に推移してゆくが、中でも印象深いのは永武(p)とのバラード#4での、永武の穏やかな耽美派ロマンティストぶりと守谷のアルトサックスという楽器の最も美しい端麗な調べ〜これ以上求むべくもない嫋やかな音響を引き出しきったメロウ・テンダネス溢れる歌い様との語らいが殊の外瑞々しい感動を呼ぶくだりや、本田(ds)との激烈バトル#5での守谷のフリーキー・トーン交じりで叫びに叫ぶアブストラクトな大暴れがアツいその場外乱闘的迫真力〜凄味の圧倒性、同じく本田との#6での本田が過激苛烈に悔いなく暴れ倒す一方で守谷は独り粛々とバラードの世界に没入するというそのアンバランスの齎すエモさ、といった辺りがとりわけ傑出。
★全体を通して、メロディアスな趣向も含めやはり守谷流の"スピリチュアル・ジャズ"が探究されている感じがあり、例えば坂田明ほどのイッちゃってる度合はないにしろ(ただそうした吹鳴から独特の昏い情念っぽさがじわり立ち昇ってくる辺はいかにも和風であり坂田にも底通するところ、か)その節度と均整ある守谷独自のパッションの発露は誠にフレッシュだ。同時リリースのヤムヤムズとは180度異なった守谷のフリー・ジャズへのシンパシーが垣間見れる点も大いに魅力。
1. アケタズグロテスク (明田川 荘之)
2. 即興演奏 824
3. アミロード (松風 鉱一)
4. 碧落に咲く (守谷 美由貴)
5. キアズマ (山下 洋輔)
6. For You (板橋 文夫)
守谷 美由貴 (alto saxophone)
永武 幹子 (piano on 1, 3, 4)
本田 珠也 (drums on 2, 5, 6)
2025年7月30日(#1,#3,#4)、8月24日(#2,#5,#6)アケタの店(東京・西荻窪)でのライヴ録音
レーベル:
Coume Music
御予約商品
2026年4月15日発売予定 受注締切:2026年3月25日
国内制作CD