★Cellar Live、Posi-Tone、Cellar Musicよりの諸作で着実に支持層を拡大してきた、すっかり貫禄な硬派モダン・テナーの中堅実力者=ネイティヴ・ニューヨーカー:サム・ディロン(1985年米ニューヨークシティ生まれ)の、今回はデイヴィッド・ヘイゼルタイン(p)をフィーチュアしたワンホーン・カルテットによる一編。
★鋭い締まりや隆々さの中に仄かな丸みや緩みを垣間見せるところもある、さりげない機微を備えた逞しき重厚トーンのテナーが、音数多くハード・ドライヴィングに渦巻きを描く感じのエネルギッシュ&アグレッシヴなパッションのハジけた熱血勇猛咆哮を変らず拠り所とし、要所要所にアーシーでイナセなブルース節も滑り込ませる、トータル的には現代硬派ポスト・バップ・テナーの正統らしいタフで雄渾なるイメージのエモーショナル・プレイを強靭そうに綴って、頼もしさ満点の精悍凛々たる華を飾り、そうした、全力を出しきって烈々と燃え盛るテナー(いい塩梅の暑苦しさ?)に比し、余裕と品格をもって落ち着いたファンキー・バップの世界を形作るピアノのセンスよくウィットっぽさを感じさせる立ち働きも、テナーとは上手く好対照を成して絶妙のメリハリ(そしてオアシス処)が齎された、全編今日流ストレートアヘッド・ジャズの本道ド真ん中を突き進む正攻法敢闘が続いて、壮快でフレッシュな昂揚感を満喫できる会心打内容。
★取っ付きやすく分かりやすいメロディーの美と安定律動的ノリのよさを何より重んじ、ブルース由来の吟醸感やバップ・ミュージックならではの渋旨テイスト、モーダルなアツさも巧まず豊富に有した、これぞ主流派リアル・ジャズの鑑!たるヘヴィー・ストロングで猛々しい突進が頑として揺るぎなく展開され、クラッフィー(b)やグリーン(ds)の手堅くも芸達者で細部まで行き届いたバックアップも絶えずテイスティー・グルーヴィーに光る中、彼らにガッチリ支えられ、鋭く触発される恰好で、一座の花形ディロン(ts)や対抗馬のヘイゼルタイン(p)のアドリブ活躍〜リレー合戦が最高潮の盛り上がりを呈して胸躍る思いだ。
★ディロン(ts)の、コルトレーンやグリフィン辺りの流れを汲んだ半ばシーツ・オブ・サウンドっぽくハード・ドライヴ感も全開で饒舌に、激烈に猛り吠えまくるホットなアクション攻勢を基調とし、時折音数を減らしてロリンズに接近したりもする、一貫してパッショネートで迷いのないその燃えっぷりが1ミリもブレぬ堂々たるヒロイック映えを見せており、かたやヘイゼルタイン(p)の、#7とかではディロンに調子を合わせてモード色濃いめのスピリチュアル節を繰り出したりもするが、それを除けば終始変らず純正ハード・バッパー+ファンキー派体質のジェントルマンらしい洗練された理知性と洒脱さ〜瀟洒味を身上とする、小粋でシブい芳醇なる音景色をチョチョイのチョイと創出して見せるという、そんな風な軽みある弾鳴がまたさすが熟練の得難い魅力を漂わせていて絶品。
1. No Promises
2. Softly As In A Morning Sunrise
3. Past Time
4. Have You Met Miss Jones
5. My Ideal
6. I Love You (ts-b-ds trio)
7. Path Of Totality
8. SD Card
Sam Dillon (tenor saxophone)
David Hazeltine (piano except 6)
Alexander Claffy (bass)
Rodney Green (drums)
2024年11月2日米ニュージャージー州イングルウッド・クリフスのVan Gelder Studios録音
レーベル:
Cellar Music (Cellar Live)
在庫切れ
可能な限りお取り寄せ致します
輸入盤・見開き紙ジャケット仕様CD