★米ミシガン州立大学でジャズ・サクソフォーンの准教授を務め、ミシガン州とニューヨークを行き来しつつ精力的に活動、かつては自主製作盤、その後はPosi-Toneからの諸作で高い評価を得てきた、メキシコ系アメリカ人であるテナーサックスの中堅実力者:ディエゴ・リヴェラ(1977年米ミシガン州アナーバー生まれ)の、今回はテレル・スタッフォード(tp)をフィーチュアしたクインテットによる自作曲集(全10曲が一つの組曲を成しているという入念な格好だが演奏の雰囲気はそうカッチリもしていなく結構ラフめの印象)。
★精悍そうな覇気や威勢とレイジーな脱力感やけだるさの入り混じった2管アンサンブルが颯爽と旗めいた後、スマートな中にもエネルギー&エモーションをジワリ煮え立たせる風なドライヴ感溢れるテナー咆哮や、ピリッとシャープ&スパイシーに凛々しくバップ・アクションをキメるトランペット、アーシーとモーダルの間を敏捷に往来するピアノ、らがベース&ドラムの猛烈にスイングする発破かけ!に上手く煽られながら雄々しくタフ&テイスティーに見せ場を繋いでゆく、全般に現代流2管ハード・バップの本道ド真ん中を突き進む正攻法の行軍が続いて、スカッと壮快に昂揚させてくれる会心打内容。
★歌心とスイング感にポイントを絞り、ブルース・フィーリングやバップ・スピリットも豊富に有した、伝統を重んじる体質なこれぞストレートアヘッド・ジャズの鑑たる硬派雄渾の驀進、が好もしい荒削りさを伴いつつ逞しくマッチョに展開してゆき、リズム・セクションのノリとスリルのツボをバッチリ押さえた煽情力・煽動力溢れる攻勢に頼もしくプッシュされて、リヴェラ(ts)vsスタッフォード(tp)のフロント2管対決を始めとするソロ・リレー・コーナーが、豊饒なる盛り上がりを見せて全くゴキゲンだ。
★リヴェラ(ts)の、ロリンズやモブレー、或いはジョーヘンやブレッカーをもうちょいスモーキーに幾分モノトーンっぽくくすませた感じの、ハード・ドライヴィング&ダイナミックでありながらどこか物憂げでもある少々荒っぽい(敢えて粗雑に振る舞う)吠えっぷりが威風堂々の逞しく骨太い華を成しており、同じリヴェラを主役としたPosi-Toneの企画物:Blue Moodsシリーズではリヴェラのどちらかと云うと主に寛ぎ面・洒脱紳士面がクローズアップされていた印象があって、対するこの自己名義の本盤ではより攻撃的で熱血漢的な王道ハード・バッパーたる側面にスポットが当てられている、という作風の違いがあるものの、しかし本作をよく聴いてみるとリヴェラの芸風はアグレッシヴに攻め込んでいる場面でもどこかレイドバックしたリキみなさや自然体で流れに身を任せる風な気負わぬ豪放磊落さ、にこそアジな本領が顕れている感があって、そういった辺りの半ば脱力系っぽい魅力は、より技巧的に練達し考え抜かれ背筋の伸びた凛然たるプレイを繰り出すスタッフォード(tp)の研ぎ澄まされた個性との対比で一層浮き彫りになっている(これにより、ある種の武骨さ・ガサツさの美学とでも云えそうな男臭くデカダンなテイスト〜アクが音空間に齎される)、あたりのところが興趣に富んだ聴きものでもある。
★フロント2人のバトルをよそにマイペースでモードとファンキーの融合的立ち働きにイキイキと没頭するヒラハラ(p)の活躍もナイス・アクセント。
01. Volver 5:10
02. Fotografias 4:24
03. Pan De Muerto 5:46
04. Cempasuchil 5:21
05. Cosas 6:30
06. Papel Picado 4:39
07. La Calavera 5:06
08. Cruz 2:21
09. Velas 4:54
10. Esqueleto 4:33
Diego Rivera (tenor saxophone except 06) (soprano saxophone on 06)
Terell Stafford (trumpet)
Art Hirahara (piano)
Boris Kozlov (bass)
Rudy Royston (drums)
2024年6月21日米NYブルックリンのAcoustic Recording録音
2024-2025年作品
レーベル:
Posi-Tone
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輸入盤CD
入荷予定時期:2025年2月下旬 受注締切:2025年2月9日
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