★ピアニストやドラマーとしても非凡だが従来は専らトランぺッターとして名を馳せてきたカナダの多才なヴェテラン名手:ブラッド・ターナー(1967年カナダ-ブリティッシュ・コロンビア州ラングリー生まれ)の、今回は自身はピアノに専念した、ベース&ドラム&パーカッションとのカルテット(パーカッション抜きのピアノ・トリオも2曲)による自作曲メインの一編。
★アフロ・キューバンなラテン・ジャズ・タイプの舞踏的リズミカル・グルーヴ感を呼び込むパーカッションの躍動に導かれて、硬質鋭角な骨太タッチのピアノが苦味走ったモーダル・バピッシュなダイナミック・アクションを炸裂させたり、半ダンサブルに上手くリズムに乗ってブルージーに哀愁を歌い上げたりの、剛柔併せ持ったメリハリあるアクティヴ・リリカル・プレイを敏活に綴って精悍かつ生鮮な魅力を放ち、おぼろにして太々とウネるベースやシャープ&精確にビートを刻むドラム、"南国グルーヴの化身"のようなパーカッション、らの活躍もハマるべきツボにアザやかにハマりきった、全体を通じラテンのリズムを十全に活かしながらしかしその中身はあくまで硬派な現代ハード・バップ、といった感じの質実スウィンギン世界を旨味と歯応え充分に愉しませる敢闘内容。
★ラテン型のスイング感と明朗な歌心を変らず二本柱とし、ブルース・フィーリングも潤沢に備わった、だが決して甘くない陰影とスパイス感あるキリッと凛々しく雄々しい真剣勝負のバピッシュ熱演、が気魄をもって軒昂げに展開してゆき、ダンカン(per)の舞踊感溢れる律動がノリノリ効果満点に煽ってくる中、ターナー(p)のこれに触発されて自身も踊るような素振りを見せるが基本的にはマイペースを保ってリアル・ハード・バッパーたる姿勢を崩さない、キレ味鋭く強固堅牢な立ち回り即興が迫力ある中々熱い盛り上がりを呈して壮快だ。
→大雑把に捉えるならハンコック辺りの力学面を踏襲してブルース・フレイヴァーを濃厚に加味した、とでも云えそうな、ダイナミズム全開の殺陣風大アクションとダウン・トゥ・アースな吟醸的節回しで頑として剛健に押してくる、骨芯の据わった分厚いタフガイぶりが奮いに奮っており、ラテン乗りでありながら強硬さ〜ストロングネスを妥協なく貫いたその雄姿は、背筋も伸びきった凄味さえ感じられて頼もしい限り。
1. Mr. Charles
2. Spring Peeper
3. Wondertramp
4. Can't Know How
5. All Ocean Views (p-b-ds trio)
6. Glory Days (p-b-ds trio)
7. It's All So
8. Love For Sale
Brad Turner (piano)
Darren Radtke (bass)
Bernie Arai (drums)
Jack Duncan (percussion, conguero except 5, 6)
2024年9月9日カナダ-ブリティッシュ・コロンビア州ヴァンクーヴァーのMonarch Studios録音
2025年カナダ作品
レーベル:
Cellar Music (Cellar Live)
在庫有り
輸入盤・見開き紙ジャケット仕様CD