★今日の和ジャズ・シーン最前線を突っ走る二人、魚返明未(p)(1991年東京都生まれ)と井上銘(g)(1991年生まれ、神奈川県川崎市出身)の盟友コンビのデュオによる、凡そ4年ぶりのセカンド・アルバムが登場。
★クラシック寄りともとれる繊細端正なタッチのピアノが落ち着いた調子でクールに、またある時はリズミカル・グルーヴィーに耽美的メロディーを朗々と歌って、壮麗なエレガンスとブルースの旨味が自然に融け合った雅趣深き魅力を放ち、これにニュアンス濃やかに呼応しつつ吟醸感溢れるフレーズを紡ぐギター(場面に応じてエレキとアコースティックを上手く使い分ける)の粋節がまた、ともすればニューエイジ・ミュージックになりそうになるピアノとは対照的に一貫してしっかり"ジャズ"ならではのイナセで渋い妙味を際立たせた、全体を通じ両者のピタリと息の合った緊密な協調ならびに駆け引きをノリよく情緒豊かに愉しませる、何げに練達した充実内容。
★メリハリは十分で振り幅には富むがあくまで旋律や和声の美しさ・親しみやすさと律動的ノリを大切にした、躍動型抒情派タイプの(彼ら流の最新フォームにアップデートされた)コンテンポラリー・ジャズ演奏が敏活に展開してゆき、魚返(p)の詩人であり唯美的ロマンティストである端麗メロディー満載のリリカル弾奏が、今流ジャズと分かりやすい現代音楽の間で瑞々しく煌めき、対する井上(g)の持ち前の進取性と同時並行的に発揮される「ジャズ・ギターの歴史を確固として振り返る」風な結構勇み肌のプレイも絶妙のコクを浮かび上がらせて、といった具合で2人のコントラスト鮮やかな友好的拮抗の様が、中々インティメイトなムードの中で芳醇に味わえるという寸法だ。
★魚返(p)の、ジャズとクラシックの両方にルーツを有したわりかしポップ&マイルドな間口の広いインストゥルメンタル・ミュージックを目指している感じの、ジャンル区分に捕われないメロディック妙技が甘美に映える一方、井上(g)の、ウェスやメセニー、ジョンスコ、M・スターン、アバークロンビーら辺りの成果を踏まえて少なくとも本盤に限ってはジャズであることにとことん拘った(但し一部アンビエント風なところもあったりはする)醸熟感溢れる語り口も、こってりテイスティーにイキなオーラを立ち昇らせていたりと、按配よく役割の振り分けられたそれぞれの活躍が冴えた豊作ぶりを示している。
01. うつろな街 (作曲:魚返明未)
02. ゆらゆら (作曲:魚返明未)
03. Light Grey Variations (作曲:魚返明未)
04. Puppet Dancing 1 (作曲:井上銘)
05. Puppet Dancing 2 (作曲:井上銘)
06. グラサン (作曲:魚返明未)
07. 影のつづき (作曲:魚返明未)
08. 向こう岸 (作曲:魚返明未)
09. 鉛色の鐘 (作曲:魚返明未)
10. 陽射し (作曲:魚返明未)
11. May 3rd (作曲:井上銘)
魚返 明未 Ami Ogaeri (piano)
井上 銘 May Inoue (electric guitar, acoustic guitar)
東京・ReBorn Wood Studios(東京都板橋区本町)録音
2026年日本作品
レーベル:
ReBorn Wood (リボーンウッド)
在庫有り
国内制作デジパック仕様CD