★今日の日本のジャズ界において最重要とも目される、進取性に富んだ超多忙を極めるオールラウンドなトップ・ドラマー:石若駿(1992年北海道清里町生まれ)の、高橋佑成(p)&マーティ・ホロベック(b)の盟友二人と組んだ緊密ピアノ・トリオによる、六本木の老舗ジャズクラブ:Alfieでの白熱のライヴ編。
★ゴトゴトと騒々しくダイナミック&ヴォリューミーに転がり廻るようなドラムの圧倒的迫力を湛えた少々荒っぽい轟鳴に問答無用で揺さぶられ、煽られる恰好で、キレのある硬質鋭角性と端正さを併せ持った鮮明タッチのピアノが、モード系ハード・バップの正統らしい躍動的かつリリカルなメロディック面と怪しくアブストラクトなフリー寄りの異形実験リアル・インプロ面を上手く使い分けた、メリハリに富むドラマティック・プレイを敏活に紡いで気魄と旨味十二分の堂々たる魅力を放ち、これに絡むベースのある時はミステリアス&ノワールに不気味さをもって唸り、ある時は温もりとスピリチュアリティと唄心一杯にハートフル・グルーヴィーなフレーズを繰り出す、その弾力感に満ちた鳴動も空間底部をテイスティー&重厚に彩って妙味を際立たせ、背後から野獣の如くゲリラティックに襲いかかってくるドラムの猛攻も只ならぬスリルとグルーヴを頼もしげに高めきった、全体を通じ三つ巴インタープレイ型ピアノ・トリオの極致とも云うべき突き抜けたやりとりが続いて緊迫感一杯に、そして壮快に昂揚させられる濃密な敢闘内容。
★一触即発の正三角形的インタープレイ趣向を旨としながら、一座の花形である高橋(p)の演奏を中心に見た場合、ハンコックやコリアの流れを汲んだ抒情性を多分に含むモーダル・バピッシュな行き方を先ずは何より柱に据え、そこから発展してゆく形で似てはいないものの60年代ポール・ブレイ・トリオとかにも底通する幾分ハードなフリー・インプロ色仄めくアプローチが時折転回として現れる、という、一聴コワモテっぽいところもあるもののよく聴いてみれば巧い按配でバランスのとれた娯楽活劇として充分愉しめる流れに仕上げられていて、そうした中で高橋(p)のセンスのよさが光る語り口の妙であったり、全体を束ねる石若(ds)のワイルドなタフネスをみなぎらせた手加減なき大攻勢であったり、のアドリブ奮戦の数々が抜群の生鮮度でエキサイティングに堪能できる寸法だ。
★高橋(p)の、メロディアス&スインギーな吟醸バッパー肌の歌いっぷりであれ、乱調に転じたよりソリッドで抽象性濃いフリー・インプロヴァイザーぶりであれ、一貫して何よりも洗練され研磨された感覚の鋭さ・瀟洒さを本領とする即興ワザが実に颯爽と煌めいていて卓抜で、一方石若(ds)の、獰猛で激烈な攻撃性〜暴れ倒しパワーを取り柄とする反面、結構繊細でスマートな機微深き安定スイング力にも秀でた懐の広い立ち働きも、さすが座長然と揺るがぬ冴えを見せておりナイス。間隙をぬってこってり芳醇に唄うホロベック(b)のスピリチュアル&ソウルフル至芸も◎。
1. Immortal Jellyfish
2. Pimiento
3. Temporal Cubic
4. Goodbye
5. Room
6. Big Saaac.
7. Angelsmiles
8. Hip Bone
高橋 佑成 Yusei Takahashi (piano)
マーティ・ホロベック Marty Holoubek (bass)
石若 駿 Shun Ishiwaka (drums)
2024年11月18日東京都港区六本木 Jazzhouse Alfieでのライヴ録音
レーベル:
LIVE at alfie
在庫有り
国内制作・紙ジャケット仕様CD