★NY主流派シーン第一線において現代ハード・バップ・ピアノの正統街道ド真ん中を長きに渡りまっしぐらに突き進んできた、その筋の筆頭ヴェテラン実力者にして多忙を極める大人気スター:デイヴィッド・キコスキ(1961年米ニュージャージー州ニューブランズウィック生まれ)の、今回は、ビリー・ハート(ds)&ジョー・マーティン(b)とのトリオに予てより親交深かった朋友=大ヴェテランのランディ・ブレッカー(tp)(1945〜)をスペシャル・ゲストとして迎えた(ブレッカーは全曲参加)、カルテット体制でのNYスモールズ・ライヴ編。
★硬質で鋭角なキレのよさやパーカッシヴ感と、滑らかさや潤い、を併せ持った、打鍵の強い精確なクリアー・ストーン・タッチのピアノが、モード色濃くジワリジワリと沸騰し煽ってくるような、それでいて一定の洗練されたスマートさも絶やさぬダイナミック・アクションを、時折ファンキー・ブルージーな吟醸感を盛り込みつつ展開させる、という基本は苦味走った硬派筋の躍動感溢れる敏活プレイを綴って精悍な魅力を揮い、これとは対照的にシャープな破裂感・突破力の中にもマイルドなリリシズムを自ずと保持したトランペットの、"歌心の権化"然たる情緒型メロディック・ブロウも悠々と拮抗しきった、全般にこの両雄のスリリングであり和気あいあいでもあるさりげなく絶妙のコンビネーションに担保されての友好的バトルを核とする、極めて真っ当な現代ハード・バップ大会が貫かれて壮快に愉しませ、昂揚させる白眉の充実内容。
★親しみやすい旋律の美や詩情と安定律動するスウィンギンなノリ、を何より最重視し、ブルース&バップ&モードの伝統的フィーリングもごくナチュラルに有した、単純明快なオーソドックス・エンタテインメント街道を嬉々として真っ直ぐに驀進するリリカル・アクティヴ・バピッシュ快演、が何ともイナセに繰り広げられ、雄弁に唄い波打つマーティン(b)や重厚でヴォリューミーかつスリリングにフェイントも効かせてくるハート(ds)、にガッチリ支えられ、触発されて、キコスキ(p)とブレッカー(tp)のともに自然体の普段着感覚をもって繰り出すアドリブ技が、ゴキゲンな豊作ぶりを呈して胸躍る思いだ。
★キコスキ(p)の、例によってハードボイルドな力学性に重心を置いた殺陣っぽいモーダル・ソリッド立ち回り攻勢と、軽涼なコードワークを活かした寛ぎファンキー節、を的確に使い分けての(主軸は前者)ドラマティックな活躍が毅然として凛々しく映える一方、そうしたキコスキの座長として全体をまとめる役割をも担った働きを横目に、あくまでマイペースで一ゲスト・ソロイストの立ち位置をとことん楽しむ風なブレッカー(tp)の、どこまでもまろやかによく歌い滑脱にスイングする、ゆとりを残した巧まぬ生粋メロディストぶり&吟醸バッパーぶりがまたナイス・デリシャスで絶品。
1. Winney's Garden
2. Shadow
3. There's A Mingus A Monk Us
4. Presage
5. Straight No Chaser
6. Moontide
7. Cecilia
Randy Brecker (trumpet)
David Kikoski (piano)
Joe Martin (bass)
Billy Hart (drums)
2024年9月9日米ニューヨーク市グリニッチ・ヴィレッジのSmalls Jazz Clubでのライヴ録音
レーベル:
Cellar Music (Cellar Live)
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