CATFISH RECORDS

★その弾鳴には妖しい情念が渦巻き煮え立つ独創肌ブラック・ピアノの巨匠：マル・ウォルドロン(1925年米ニューヨーク市生まれ、2002年ベルギーのブリュッセルで死去)の、本盤は、1972年5月11日フランス-パリで吹き込まれ、テイチクやPaula(米ルイジアナ州シュリーヴポートに本拠を置くR&B〜カントリー系のJewel Recordsの傍系＝子レーベル)、センチュリーなどからLPが出ていた幻のソロ・ピアノ傑作の、Paula盤のジャケットを使ったCD化・新装再発(限定)版。

★例によって、重みとドス黒さをもって鋭く突き刺さるかのような、それでいて軽やかに弾み躍る風な闊達さを感じさせる面もある、コク味もこってりな硬質吟醸タッチのピアノが、終始濃い暗影を漂わせながらスピリチュアルな内的エモーションのあり様を執拗なまでの熱さ・密さ・半反復性でシャープ&ダイナミック・スウィンギンに描破する、生々しい切迫感と歯切れよく尖ったノリも一杯のダーク・ブルージー・プレイを屈強に、丹念に紡ぎきって何とも深遠なる感動が齎され、その全力全霊の敢闘の連続に魂を揺さぶられる思いの、殊の外グイグイ引き込まれる壮快内容。

★鋭角的でソリッドな音色そのものの"鬼の迫力"にも先ず理屈抜きで圧倒される、マル流の漆黒アーシー・ソウルと暗くアヤしいスピリチュアリティが濃厚に投影された、肝の据わり具合も只事でない唯一無二のメディテイティヴな情魂世界が精悍軒昂さと深々とした落ち着きない交ぜでドラマティックに、激烈に創出されてゆき、ちょっと何かに憑かれたようにのっぴきならず抜き差しならない切実さで訴えかけてくる、そのひたすらタフ&ストロングな雄渾のスケールを湛えた唸るが如き弾鳴、語り口の妙はヤバイくらいの渾身の気魄と昂揚パワーに溢れていてさすが卓越している。

★濃すぎるほどのブラックネス&ダークネスのこもった終始一貫エモーショナルでパッショネートそしてエネルギッシュな哀愁的情緒の歌い上げ様は、しっかりスインギー・グルーヴィーな確固たるタイム感ならびにメランコリックですこぶる美しいメロディー・センス(歌心)にも裏打ちされて、血沸き肉躍るも清々しい雄大な感動の絶えない、加えて立体力学的な圧巻のノリのよさをも有した孤高の映えを、華々しい魅力を烈しくも静かに、厳かに、そして高密度に示していて絶品かつ説得力満点だ。これはクセになります。

1. ポートレイト・オブ・ア・ブルファイター
2. ワン・フォー・バド
3. フォー・エリック・サティー
4. パリス・リユナイテッド
＊all compositions by Mal Waldron

Mal Waldron マル・ウォルドロン (piano)

1972年5月11日フランス-パリ録音

レーベル：Solid ウルトラ・ヴァイヴ(Ultra-Vybe) (Octave-Lab)

在庫有り
国内制作CD