CATFISH RECORDS

★新作リリースが快調に相次ぐオランダの人気ピアニスト：ロブ・ヴァン・バヴェル(1965年オランダ-北ブラバンド州のブレダ生まれ)の、今作は、マリウス・ビーツ(b)＆エリック・イネケ(ds)との鉄壁トリオによる、ホレス・シルヴァーに捧げられたシルヴァー曲をメイン・レパートリーとする妙演集(せんだって好評を博していたチック・コリア・トリビュート作録音の翌日に同じメンバー、同じスタジオで吹き込まれた云わば姉妹編?)。

★硬質堅固で鋭角的キレを呈すると同時に滑らかな潤い感も過不足なく自然に備わり、また石のようなゴツッと迫るストロングネスとクリスタル風の透明感が一体化した中々表情に富む美味タッチのピアノが、ソリッド&スクエアーな殺陣の型に徹するが如きバップ・イディオム奏法を基底に敷き、アーシーなブルース歌謡っぽい黒さある吟醸フレーズもふんだんに絡めて、何ともイキで雄々しい壮快かつタフな華を堂々と飾り、ベース&ドラムの猛烈に突撃スイングするスケールのデカいダイナミック至極なバックアップも、ノリとスリルを強力に高めて頼もしい妙味を揮った、全編ハード・バップ系ピアノ・トリオの本道をまっしぐらに驀進する気魄のこもった熱演が横溢して、スカッと昂揚させてくれる敢闘内容。

★ブルース色も濃い硬派な正統筋ハード・バップ・ジャズのこれぞ真骨頂とも云うべき、凹凸烈しいアクションの迫真力とダウン・トゥ・アースな漆黒の歌心に溢れた、ヘヴィーで骨太くも歯切れよい敏活さ・躍動感みなぎるスウィンギン快演、がひたすら力強く精悍軒昂に展開され、雄弁な歌いっぷりで多彩にアクセントをつけるビーツ(b)や、精確で敏捷な極めて芸の細かい(引き出しの多い)イネケ(ds)、らの遊撃的サポートにガッチリ支えられ、そしてスリリングに触発されながら、ヴァン・バヴェル(p)の、ドッシリ腰を据えて凛々しく勇壮に完全燃焼する、小粋さや渋さと猛々しさや強硬さが自ずとない交ぜになったアドリブ・プレイが、気力も充実しきったエキサイティングな絶好調ぶりを見せて卓抜だ。

→モード的な節回しを使うところも一部あるものの、芸風の基本は「ファンキー系バップ・ピアノの正統」たる幾分かオールド・ファッションなスタイルであり、ただファンキーとは云っても軽涼な玉転がしタッチの寛ぎ小唄風ブロック・コード技とかはわりかし控えめにとどめて、どちらかと云うとオスカー・ピーターソン辺りの奏法をより重く分厚く極太化した、ような趣の、キリッと凛々しくダイナミズム〜力学性やハードな堅牢さが徹底強調された雄渾なるアプローチがあくまで根幹となっており、その剛健で壮大なスケールと起爆力を湛え、圧倒的精彩を放った漢たる弾鳴のあり様には、理屈抜きで大いにノセられ、興奮させられる。見事。

01. ニカの夢
02. シスター・セイディ
03. ソング・フォー・マイ・ファーザー
04. サマー・イン・セントラル・パーク
05. ナットヴィル
06. ストローリン
07. ザ・モヒカン・アンド・ザ・グレート・スピリット
08. ルーム608
09. ピース
10. ディス・ヒア
11. ダット・デア
12. パーカー51
13. ブルース・フォー・ホレス

Rob van Bavel ロブ・ヴァン・バヴェル (piano)
Marius Beets マリウス・ビーツ (bass)
Eric Ineke エリック・イネケ (drums)

2021年10月19日オランダ-ザイスト(ユトレヒト州)のStudio (de) Smederij録音
(Limetree原盤)

レーベル：Solid ウルトラ・ヴァイヴ (Ultra-Vybe) Limetree Timeless

最新リマスター、日本語解説書き下ろし、
オリジナルジャケット使用

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