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ホーム2022年5月REVIEW繊細柔和でおおらかな開放感と雄大スケールを湛えたマイルド・メロディック・テナー・ブロウが幽玄深く映える牧歌的スピリチュアル・バラード世界 CD ODED TZUR オデッド・ツール / ISABELA
商品詳細
★Yellowbird(Enja)やECMよりの過去作品群がいずれも好評だった、ニューヨーク・シーンで活躍するイスラエル出身の個性派コンポーザー肌テナーサックス奏者:オデッド・ツール(1984年イスラエルのテル・アヴィヴ生まれ)(オランダ生まれ説もあり?)の、ECMからの2作目となる今盤は、前作「Here Be Dragons」と同じ顔ぶれの緊密カルテットを率いての、全曲自身のオリジナルで固めた一編。吹き込み場所も前作と同じスイス-ルガーノのコンサート・ホール:Auditorio Stelio Molo(恐らく非ライヴ録音)で、エンジニアも前作から続投のステーファノ・アメーリオが担当している。

★肉太くも柔らかみ&丸みがあって包容力を感じさせる中々に旨口なトーンのテナーが、歌心も潤沢に朗々と哀歓を映し出す力強いエモーショナル節であったり、落ち着いた調子でしんみりと心象風景をスケッチするような、或いは祈りや読経をイメージさせもするメディテーショナルな行き方であったりの、仄かにエキゾティズムを漂わせたスピリチュアル・プレイを丹念に紡いで優しくも感動的な華を悠々と成し、きめ細かな耽美性と硬質的アブストラクトさを上手く使い分ける(メインは前者)ピアノ以下、リズム陣の滑脱でノリよくも躙り寄るような(もしくは妖しくトグロを巻くような)サスペンスや浮遊感を伴った機動的サポートも、グルーヴと緊張を的確に高めてセンシティヴな魅力を際立たせた、全編に渡って心地よいスリルと奥深い浪漫がじっくり堪能できる濃密内容。

★バラードを基調とした、深遠なる安らぎや牧歌的詩情とインタープレイの迫真スペイシー感溢れるリリカル指向のメロディアス奏演、がゆったりとした息遣いで、しかし同時に一定の張り詰めた空気感も絶やすことなくデリケートに展開され、あてどなく宙を遊泳するようでいて泰然自若の安定したノリのよさをもおのずと備えた道程の中で、ツール(ts)の、ほぼ一貫して力は八分目の、余裕と節度を保った濃やかなアドリブ妙技があくまで流麗に冴え渡って、実に雅趣豊か。

→ちょっとフォーキーでもある独特のスピリチュアリティをおおらかに歌い上げる、どこかしらヤン・ガルバレク辺りにも底通する吟遊詩人風のまろやかでメロディアスなアプローチが好調で、ソロ・パートが佳境に入ってくると次第に内なる熱いパッションがハジけるが如きエネルギッシュな語調(微妙にコルトレーンへ接近?)となり、「アクション・バラード」の様相を呈するが、アグレッシヴとまでは行かずやはりそうした局面にあっても悠然と構えた風なゆとりやニュアンスっぽさを巧まず維持した、全く独自のダイナミックなストーリーテリングの粋は、誠に幽玄深く説得力も絶大。デリカシー溢れるロマネスクな唯美的歌い回しやヒーリング系orニューエイジ系に寄ったクーリッシュ弾奏で巧みにコントラストをつけるハーシュコヴィッツ(p)の助演も、煌めくように鮮やかに光っている。

1. Invocation
2. Noam
3. The Lion Turtle
4. Isabela
5. Love Song For The Rainy Season

Oded Tzur (tenor saxophone)
Nitai Hershkovits (piano)
Petros Klampanis (double bass)
Johnathan Blake (drums)

2021年9月スイス-ルガーノのAuditorio Stelio Molo RSI録音
(engineer:Stefano Amerio)

レーベル:ECM

在庫切れ
可能な限りお取り寄せ

スリーヴケース仕様CD


繊細柔和でおおらかな開放感と雄大スケールを湛えたマイルド・メロディック・テナー・ブロウが幽玄深く映える牧歌的スピリチュアル・バラード世界 CD ODED TZUR オデッド・ツール / ISABELA[450 6014]

販売価格: 2,380円(税込)
数量:
商品情報
ECM

★NY在住、テルアヴィヴ出身のいま最注目の集まるサックス奏者、オデッド・ツールのECM2作目!

■2020年のECMデビュー作品『Here Be Dragons」以来2年ぶりの本作でも前作同様、ピアニストのニタイ・ハーシュコヴィッツ、ベーシストのペトロス・クランパニス、ドラマーのジョナサン・ブレイクが、オデッドの音楽の旅に再び加わり、その個性的音楽性をより鮮やかに掻き立てる想像力を与えている。コンテンポラリー・ジャズ界を牽引し、このジャンルの伝統的な形式を超えたつながりを持つこのサックス奏者の共同作業者には、楽曲の構成と可能性の中で「どのように音楽を発展させてもよい」という自由が与えられているという。このグループは、常に新しいコミュニケーション方法を発見し、その過程で音楽のボキャブラリーを広げている。ニタイの繊細なピアノの筆致、ジョナサンの激しく自信に満ちたパーカッション・ワーク、そしてペトロスの深い部分での信頼できる基盤によって特徴づけられており、"まるで川の上にいて、川岸には木が茂っているから、どこに向かっているのかよくわからないけれど、きっといいところに導いてくれるはず"と自らの音楽を定義している。

■Odedは、サックス奏者が他国の音楽イディオムを借りたり真似たりするのではなく、普遍的なレベルで包括的な音楽哲学的概念を適用する方法でラーガとジャズを融合させ、自分の音楽の道において特に特異な作曲方法を切り開いてきました。オデッドが言うように、ラーガは拍子記号や音符に縛られたパラメーターの集合を超えるものだ。「ラーガを定義する1つの方法は、音でできた抽象的な人格とみなすことです。ある音楽家は、ラーガを「生きている存在」と表現する。それはもう音階ではなく、音符の並び以上のものです。そういう意味では、ブルースはラーガとまったく同じです。音階はあるけれど、単なる音階ではない。ワンフレーズ聞いただけで、「あ、これだ」と思うような、抽象的な個性がある。遠くからでもわかる人のようなものです」。

■インド古典音楽におけるチャラン(ラーガの骨格)のようなもので、劇のあらすじのように、ラーガの構造をできるだけ簡潔に説明するものである。オデッドと彼のカルテットは、「Invocation」の凝縮された音楽性を発展させ、それを新しい形やフォームに変換し、気質の広大な研究において、ある瞬間には物思いにふけり、次の瞬間には自由奔放な即興へと変化させる。「ダイナミックなスペクトルのもう一方の端で爆発を追ったときに何が起こるかを見るために、もう一方の極限も探求する勇気を養うのにしばらく時間がかかりました。このアルバムでは、ようやくダイナミック・レンジの全体像、静寂と噴火、鮮やかな色彩を探求することに心地よさを感じるようになったんだ」とコメント。(新譜案内より)

Recorded September 2021
Auditorio Stelio Molo RSI Lugano
engineer : Stefano Amerio
Cover photo Sebasiao Salgado
Linor photos : Caterina Di Perri
Design Sascha Kleis
Produced by Manfred Eicher