CATFISH RECORDS

★デンマークのトロンボーン奏者：アンデシュ・ヤコブセンの主導する、フロントに3管を配したギター入りのセクステット＝Cool Sweetness Sextetによる、本作は、「1950年代のウエストコースト・ジャズ的なクール・サウンド」の今日流リブートを意図した一編。

★色彩感豊かで爽涼感に溢れ、加えて端正に整ったスマートな様式美を呈する、一定の気品や節度を保ちつつ繰り出されるホーン・アンサンブルが清々しくも華やかに映えを示し、続いて現れる各人のそれぞれにしっかり個性が打ち出されしかも明快洒脱な歌心&ブルース・フィーリングに満ちたソロ活躍が、ひたすらセンスよく親しみやすい美味なる見せ場を繋いでゆく、全編を通じ思わずホッとするような柔和な温かみとモダニッシュなハード・バップ・ジャズならではの粋渋テイストを潤沢に備えた妙演が連続して、実に心地よくノセ、また憩わせてくれる何げにバッチリ練達した好投内容。

★インティメイトな和気あいあいの寛ぎムードと敏活で歯切れのいいスイング感に富み、アンサンブルの醸し出すスタイリッシュな洗練さにも快適にキリッとさせられる、中々壮麗でジェントルではあるがあくまで大衆娯楽的な気さくそうな人情味を絶やさない、徹頭徹尾メロディアスなリリカル・バピッシュ快演が愉しげに展開され、1曲1曲は概ねそう長すぎず簡潔にまとめられた小気味よく進む道程の中で、往年の米西海岸ジャズを彷彿とさせる重層的ハーモニーの美しさやカラフルさに気持ちよく酔わせる一方、銘々の腰を据えて伸び伸びと得意ワザを揮って見せるアドリブ奮戦が、何とも鮮やかなまでの豊作ぶりを呈してゴキゲンだ。

★ルンドゥグレーン(tp)のカラッと明るく晴れ晴れとしたイキのいいスウィンギン吹奏が一際爽やかな花形然たる輝きを放っている他、ヤコブセン(tb)のアーシー&スモーキーな陰影とおぼろ感を含んだ微妙にユーモラスでもあるコク旨ブロウや、Søndergaard(ts)の野太くソウルフルでちょっぴり泥臭くもある豪快なハード・ドライヴィング咆哮、フォン・ビューロウ(g)の、単音で鋭角的に燻し銀風メロディーを紡ぐバップ・ギターの正統らしいイナセ節とコードワークを活かしたクール・メロウな耽美的リラクゼーション表現、とを上手く嚙み合わせた折り目正しい風流プレイ、といった辺りのシブめ・芳醇めな至芸のあり様がまた絶品。

01. Open Country (Bob Brookmeyer)
02. Nancy (Jimmy van Heusen)
03. Limehouse Blues (Phillip Braham)
04. Wintersaga (Anders Jacobsen)
05. December Rain (Anders Jacobsen)
06. Blue Daniel (Frank Rosolino)
07. Shoehorn Shuffle (Anders Jacobsen)
08. Who Can I Turn To (Leslie Bricusse)
09. Serenade T.D.P.J.I.H.M (Jørgen Ryg)
10. Red Rubberboat (Anders Jacobsen / Bobby Schmidt)
11. September Hymn (Anders Jacobsen)
＊all arranged by Anders Jacobsen

Mårten Lundgren (trumpet)
Anders Jacobsen (trombone, arrangement, leader)
Jens Søndergaard (tenor saxophone)
Pelle von Bülow (guitar)
Ole Skipper (bass)
Aage Tanggaard (drums)

2021年9月22日ARK Studio(コペンハーゲン近郊?)録音

レーベル：Storyville

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デジパック仕様CD