CATFISH RECORDS

依然エネルギッシュな超多角的全力疾走を続ける藤井の、今回は夫君入り邦勢カルテットによる自作曲集。固く角張った、重みあるも敏活なバウンド跳躍っぽい鳴り様を示すピアノの、陰影濃い辛口アブストラクト・アクション攻勢と、カラッとした硬質ドライな風合いを呈しつつ眩い光輝を発してゆくようなトランペットの、怪しいが開放感ある超自在な大立ち回り、がおおよそ中心の華を成しながら、山あり谷ありの激烈ハードな迫真フリー熱演が濃密に展開される大敢闘編。根底にはしっかり情感を有した「コンポジション演奏」という大枠に沿った上での、スタイルも刻々流転する硬派フリー・ジャズ・タイプの超スリリングな真剣即興インタープレイ奮戦、がキレ味鋭く切迫力満点に連続。田村の、狂おしく爆裂するような異形フリーキー・トーンも交えながらの、終始溌剌軒昂に一インプロヴァイザーとして強靱不屈のハジけっぷりを全うして見せる、正に抽象美の精粋の如き奔放燃焼の様や、藤井の、妖しい情念孕むバラード調の半メロディック・プレイ(但し甘くはない)でしんみり憂愁ムードに入っていたかと思えば、けたたましく凶暴げなこれでもか!の幾何学的ダイナミズム速攻爆撃で大荒れ模様っぽく威圧してもくる、極めて起伏の烈しい激動的ドラマティック敢闘など、ただならぬ緊迫感と強烈な個性に彩られたインプロ名場面が横溢する。アルコ弾きでサックス似の鳴音を奇怪に轟かせるベースの侵攻もインパクト大。

1. February - Locomotive - February
2. Desert Ship
3. Nile River
4. Ripple Mark
5. Sunset In The Desert
6. Pluto
7. While You Were Sleeping
8. Capillaries
9. Vapour Trail

Natsuki Tamura(tp)
Satoko Fujii(p)
Norikatsu Koreyasu(b)
Akira Horikoshi(ds)

2009年7月9日ポーランド-クラクフのDwor Czeczow録音

レーベル：Not Two

在庫有り