ロンドンで培われた都市的な感性を持つジョン・テイラーのピアノが、静かな“覚醒”へと導く一枚。クリス・ローレンス、トニー・レヴィンとのトリオでMPSのスタジオに臨み、研ぎ澄まされた音の配置と繊細なタッチ、そして3人の呼吸が生み出す余白までを味わわせてくれます。表題曲「Decipher」が示す通り、そこに刻まれた音の“暗号”は、一音一音を追うようにゆっくりと解きほぐされていく。「Cipher」での緊張感から「Song for a Child」の柔らかな旋律へと移ろうにつれ、音楽は次第にその輪郭を現し、深みを増していきます。派手な技巧を前面に押し出すのではなく、音と音の間に宿るニュアンスを大切にした演奏。その静けさの中から、ヨーロッパの知性と現代的なジャズの息吹が浮かび上がる、ジョン・テイラーの魅力に満ちた作品です。