【過去と現在を再接続する8つの響き】素朴な民謡の響きが、先鋭的なモダン・ジャズへと変貌を遂げる。尽きることのない創造性が生んだオープンな音空間。
スイス出身の鬼才サミュエル・ブレイザーが、自らのルーツであるイタリアの記憶を辿り、音楽へと結実させた渾身のアルバム。一度も会うことのなかった祖母の写真や、NYへ渡ったイタリア系親族の物語から着想を得た本作は、素朴な伝統民謡を独自の音楽言語で鮮やかに描き出します。ラス・ロッシング、マサ・カマグチ、ビリー・ミンツという長年の信頼で結ばれたカルテットが魅せる豊かな響きは、緊密でありながらどこまでもオープン。尽きることのない創造性とユーモア、そして美しい叙情が息づく現代ジャズの逸品。
スイス出身のトロンボーン奏者/作曲家、サミュエル・ブレイザー。ニューヨークとベルリンを拠点に16年にわたって活動し、現在もニューヨーク、そして、ヨーロッパ全土で演奏を続ける彼は、2008年以降、リーダー作と共同リーダー作を合わせて34作品を発表、現代ジャズを代表する多作な音楽家のひとりである。そんな彼にとっても、『Rosina』は特別な意味を持つ、これまでの歩みを象徴する重要な作品となった。
●本作は、彼が自らのイタリアのルーツと向き合い、家族の記憶を音楽へと昇華させた最新作。そのタイトルは、彼が一度も会うことのなかった母方の祖母、ロジナ・ピエリーナ・スカルピオーニに由来する。祖母は戦時中、レジスタンス運動に参加し、その後スイスへ移住した女性だった。1925年、彼女が少女の頃に撮影された一枚の写真をきっかけに、ブレイザーは祖母のルーツであるエミリア=ロマーニャ地方に暮らす家族と、時を超えて再びつながっていく。さらに、第一次世界大戦後に困窮し、ニューヨークへ移住していたイタリア家系の親族の存在も明らかになった。こうしたつながりは、家族の秘密を次々に浮かび上がらせ、まるで小説のような意外な展開を見せながら、離れていた家族を再び結びつけていった。
●本作では、アラン・ローマックスが1954〜55年にフィールド・レコーディングしたイタリアの伝統的な民謡「Boara」「Rosina」をはじめ、子どもたちと車の中で歌った思い出から生まれた「Serenata」など、家族と土地の記憶に根ざした楽曲を、ブレイザー独自の音楽言語で描き出す。素朴な民謡の響きは、自由な即興と大胆なアンサンブルによって新たな生命を得て、過去と現在、ヨーロッパとアメリカをつないでいく。
●共演するのは、ピアニストのラス・ロッシング、ドラマーのビリー・ミンツ、ベーシストのマサ・カマグチ。長年の信頼関係に支えられたカルテットはまた、サミュエルにとって音楽的な家族。彼らと生み出す広々としたオープンな音空間と繊細なインタープレイは、自由な創造性に満ち、同時に深い叙情をたたえている。
1. Boara 5:39
2. Amaaka 8:00
3. Rosina 9:31
4. Elgnij 6:17
5. Adagio 8:04
6. Scherzo 5:46
7. Mysteriously 8:16
8. Serenata 5:22
Samuel Blaser (trombone),
Russ Lossing (piano),
Masa Kamaguchi (bass),
Billy Mintz (drums)
Recoded Skyline Underground, NJ, Sept 27–28, 2024 / March 2025
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