★地元ソウルでの活動を経て2004年にニューヨークへ移り、ブルース・バース、ジェイソン・モラン、ラルフ・アレッシ、アントニオ・ハートらに師事して8年間NYで演奏、一旦ソウルへ戻った後、一時期日本でプレイしていたこともあり(2015年から約4年間)、2019年にフランスへ渡って現在はパリを拠点に活動している韓国出身の女性ピアニスト:フランチェスカ・ハンの、これは東京時代の2017年3月、須川崇志(b)&石若駿(ds)との鉄壁トリオを率いStudio Dedéで吹き込まれていた自作曲集の(フランスのレーベル:Hanjiからの)初リリース。
★端正で落ち着いたきめの細かい鳴り様を呈する潤んだような爽涼センシティヴ・タッチのピアノが、幽遠なる心象風景の中を静かに彷徨ってゆくが如き昏くメディテイティヴかつマイルド・メロディックなリリカル・プレイを、抑制を利かせつつテンダーに、またある時はキレ味シャープに力強く綴って、耽美と硬質の間を行きつ戻りつするビタースウィート風味のロマネスクな妙味を揮い、これに執拗に絡みついてくるベース&ドラムの生き物を思わせる躍動も生々しいスリルやサスペンスと旨口のグルーヴを的確に高めきった、全般に現代のアクティヴ抒情派ピアノ・トリオの一典型らしく迫真インタープレイ色も濃い詩的でいて激動感あるやりとりが続いて、生鮮度抜群に昂揚させられる歯応え充分の敢闘内容。
★概ねバラード的コンセプトを基調としているが、冒頭2曲こそ内省感漂うしっとりめの唯美浪漫主義っぽい行き方に心地よく浸らせてくれるものの、その後は半ばアブストラクトな幾分フリー寄りのインプロ激突があったり、硬派筋モーダル・バップの見本のような骨太のダイナミック・アクションも聴かれたりと、剛柔自在に広義的バラードの世界を体現する予断を許さず安心していられないエッジの利いた妙演が展開されて、そうした一瞬も飽きさせぬ道程の中で、ハン(p)の硬軟併せ持ったしかし根はあくまで詩人気質の甘くないアドリブ熱演が殊の外清新に映え、これを猛追するスピリチュアルな須川(b)や敏捷性卓抜のニュアンスに富む石若(ds)らの遊撃ぶりもテイスティー&サスペンスフルに魅力を際立たせて、道筋は絶えずリフレッシュされ心機一転気分が途切れない。
★ハン(p)の、ポール・ブレイとまでは行かないがハンコックやマッコイ、コリア辺りがソリッド&パーカッシヴな半抽象の大立ち回りを見せるところにも通じる、強固堅牢さを多分に感じさせる力学指向のインプロヴィゼーションが気魄満点で圧倒的ではあるものの、やはりその本領としては、序盤や終盤で聴かれる繊細に翳ったイントロスペクティヴなロマンティスト面にこそ誰にも似ていない独自さ・孤高さが発揮されている印象あり、か。
1. Petit Soleil (7:13)
2. Chrysanthemum (for Kikuchi) (6:40)
3. Sisyphus (6:52)
4. Circle (6:02)
5. Cowelessi (6:09)
6. Count Yourself (4:48)
7. Detour (4:49)
*all compositions by Francesca Han 2017
Francesca Han フランチェスカ・ハン (piano)
Takashi Sugawa 須川 崇志 (double bass)
Shun Ishiwaka 石若 駿 (drums)
2017年3月21日東京、Studio Dedé(東京都豊島区上池袋)録音
レーベル:
Hanji
在庫有り
輸入盤・国内仕様CD(三つ折りデジパック仕様CD)