★80代後半を迎えるも今なお現役バリバリで独自の進歩的音楽探究に余念のない、モード派テナー(マルチ・リード)の大ヴェテラン重鎮:チャールズ・ロイド(1938年米テネシー州メンフィス生まれ)の、これは、2009年にロイドが初めてインドを訪れた折、現地のインド音楽にインスピレーションを得、ザキール・フセイン&エリック・ハーランドとのトリオ:「サンガム」を率いてムンバイのスタジオ(2009年2月印ムンバイのニルヴァーナ・スタジオ)に入り吹き込まれながらも、作品としては未完成のまま終わっていた幻の音源に、インドの各種民俗楽器やパーカッション群、キーボードらの演奏を新たに加えて作品として完成させた、17年越しのニュー・アルバム。
★重心を低く据えながら神妙に、そして切々と唸るような渦巻くテナー(またはアルト)の吹鳴が妖しくもグルーヴィーにドライヴ感をもって空を彩り、或いはちょっとバンブーに寄せた音でエスニックにさえずり鳴くフルートの調べ(と云うよりもしかするとロイドでなくVijay PrakashやRakesh Chaurasiaが実際にバンブー=バンスリまたはバーンスリー;竹製の横笛を吹いているのかも知れないが、ロイドの独特の吹き方もあって金管のフルートと微妙に音色が似通っていたりして判別が難しい箇所もあり?)もじわり芳醇味を発散、これに絡んでくるスピリチュアル&エキゾティックな男性ヴォーカルの瞑想し祈禱するが如き厳か演唱始め、各種民俗楽器やパーカッション、ドラム、キーボード(あとエレキギターの音も聞こえる)らの躍動もそれぞれ強いインパクトを残す、全体を通じロイド流ワールド・ジャズの世界がカラフル&ミステリアスかつテイスティーに密度濃く創出された、充実の敢闘内容。
★神秘的・幻想的な秘境ムードがトータル・サウンドを貫くが、何より歌心を大切にした、エスノ路線のスピリチュアル・ジャズとも云えそうな、基本は歌物バラードっぽいメロディックなリリカル演奏がノリよくもおおらかげに展開してゆき、インド的フォーキー・エキゾティズムと正統派モード・ジャズの折衷風の道程が続く中で、ロイド(ts,as,fl)の、腰を据えて伸び伸びと雄渾ロマンを歌い上げるアドリブ奮戦が、ある時は朗々と牧歌的に、ある時はメディテイティヴに内省感を孕んで、終始一定のゆとりを絶やさぬまま何とも趣深い風流な冴えを見せて格別だ。
→フルートでは秘境的フォーク・カラーを強めた異国派吹きでその奥行きある瞑想ムードに酔わせるが、テナーorアルトではブルージー・バピッシュだったりコルトレーンやオーネット辺りの影をチラつかせたりなどのあくまでジャズらしい行き方にほぼ徹しており、そうした、周りのサイド陣が皆ワールド・ミュージック方向へ歩を進めるのに対し唯一人"リアル・ジャズマン"としての矜持を貫いて見せた、懐の広そうな活躍は醸熟にして幽玄深くもあり絶品。恐らくフセインではないかと思われるが度々現れる男性ヴォーカルもナイス・デリシャス・アクセント。
1. Clear The Dust
2. The Blessing
3. Jai Ganga
4. Tagore
5. Bharati's Dance, Tempo Divine
6. Eternal Dreamer
7. Sam On The Ganges
Charles Lloyd (tenor saxophone, alto saxophone, flute)
Zakir Hussain (tabla) (possibly vocal on 1, 2, 6, 7)
Eric Harland (drums)
Vijay Prakash (bansuri = bamboo flute)
Rakesh Chaurasia (bansuri = bamboo flute)
Sabir Khan (sarangi = インドの伝統的擦弦楽器)
Ranjit Barot (keyboard)
Niladri Kumar (sitar)
some of them? (percussion)
Unknown (electric guitar on 6, 7)
2009年2月インド-ムンバイのニルヴァーナ・スタジオ録音他
2026年アメリカ作品
レーベル:
Blue Note
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