★1960年代よりヨーロッパ広域で多様な人脈と交流を結びながら活動、多くの特殊語法を体得したアナーキーなピアノ演奏術に真価を発揮し、また、その幅広い共演ネットワークを活かしつつの数々のユニークなプロジェクト推進や、組合などの音楽人組織の結成・統率、フェスティヴァルの企画開催、等々、オーガナイザーとしても非凡な手腕を発揮して多くの業績を残してきたスイス・フリー・シーンの要人=突出個性のフリー・インプロ派女性ピアニスト:イレーネ(イレーヌ説も?)・シュヴァイツァー(1941年スイスのシャフハウゼン生まれ、2024年スイスのチューリッヒで死去)の、本盤は、1986年2月1日チューリッヒのVolkshausで行なったソロ・ピアノ・コンサートの模様を収めた、恐らく未発表と思われる?ライヴ・アルバム。
★ガッチリ強固で骨太く暗影濃い岩石的ハード・タッチのピアノが、先ずはピアノを打楽器としてガキゴキと重厚かつ鋭角に叩き鳴らす動きの烈しい敏速なアブストラクト・アクションを炸裂させて、迫力満点に昂揚感を齎し、その殺陣っぽい大立ち回りの合間合間にちょっとブルース風だったりバップ風だったりストライド寄りだったりバラードめいていたりなどの、抒情や楽曲らしさも仄かに垣間見せて適度に旨味を醸成する、がしかしトータルに俯瞰すればあくまで妥協なく音の幾何学実験に没頭する感じの抽象度の高いフリー即興にほぼ明け暮れて、問答無用に圧倒する極めて密度の濃い敢闘内容。
★ヨーロッパ・タイプのインプロヴァイズド・ミュージックの一典型を示した、純度の高いアブストラクトさを旨とするソリッドな即興熱演が展開してゆくが、序盤こそ甘さを徹底して排したセシル・テイラーや山下洋輔辺りに通じる(似ているわけではない)異形のパーカッシヴ技で容赦なく攻め立てるも、3曲目以降はハードな中にもシュヴァイツァー流のブルース解釈であったりオーネット解釈であったりモンク解釈であったりバピッシュ解釈であったりエリントン解釈であったり、或いは歌性を孕んだ微妙なメロディック傾向であったりの、表面はコワモテながら娯楽としてギリギリ成立した人情あるアプローチへ次第に切り替わって全体の流れもほぐれる、といった風で緩急に富んだ行き方となっており、中々ノリよく歯切れよくテイスティーに愉しめる。
★シュヴァイツァー一流のハード・コア&ダークな激辛ビター・テイストの突撃ダイナミズム攻勢に有無を云わさず降参させられる反面、独自の深いモンク愛、オーネット愛、エリントン愛もしっかり活かしきられた、何よりシュヴァイツァー自身がこの演奏、このコンサートをとことん楽しんでいるその嬉々溌溂さが好もしくダイレクトに伝わってくる充実作。
1. IAX - Been To America
2. Struggle On The V.G. Terrace
3. Serious Fun
4. Dancing On The Bowery
5. Reflections
6. Below The Gate
7. Once Again Thelonious
8. Prelude To A Kiss
9. Back Home
Irène Schweizer (piano)
Unknown (percussion on 3)
oldly recorded male narration voice and female narration voice overlap on 8
1986年2月1日スイス-チューリッヒのVolkshausでのライヴ録音
レーベル:
Intakt
在庫有り
輸入盤・三つ折り紙ジャケット仕様CD