モダン・ジャズ史を代表する堅実派バップ・ピアノの最高峰名手の一人:トミー・フラナガン(1930年米ミシガン州デトロイト生まれ、2001年ニューヨーク市のマンハッタン区で死去)の、これは、最晩年=亡くなる1年前の2000年11月17日、イタリア-ミラノのThe Teatro Mazoniで行なった、ルーファス・リード(b)&アルバート・ヒース(ds)とのトリオによる公演の模様を捉えた未発表ライヴ音源の初ディスク化。精細で強固なキレのよさと流れるような滑らかで豪快な勢いを併せ持った、小石を幾つか転がしてゆくような剛柔自在なイキのいい生鮮タッチのピアノが、バップ・イディオムを使った殺陣風の渋い力学アクション性にアメリカン小唄タイプの洒脱でマイルドな親しみやすい美旋律傾向を加味し、更に黒人ジャズならではのファンキー&アーシーな吟醸的ブルース・テイストも多分に絡めた、トータルとしては至って摑みよくノリのいい躍動型のメロディック・スウィンギン・プレイを敏活かつドラマティックに綴って、粋でイナセでハートウォーミングな思わずホッとする"気さく人情肌"の妙味を放ち、肉太く弾力の利いたベースの波打ちやシャープ&ダイナミックに斬り込んでくるドラムの百発百中の速射アタック、もグルーヴとスリルを的確に高めて図に当たりまくった、一貫して大衆娯楽派ハード・バップ系ピアノ・トリオの王道を行く進撃が続いて、スカッと壮快に胸躍らせ、また温かに和ませてくれるさすが円熟の会心打内容。明るく晴れやか&おおらかな取っ付きやすい歌謡フィーリングと安定律動的ノリのよさを変らず二本柱とした、伝統志向のブルース・センスやバップ精神にも富む軽快で陽気なエンタテインメントの真髄たるリリカル演奏、が和気溌溂と推し進められてゆき、パワフルで歯切れのいい大立ち回りの中にもワンポイントの寛ぎやユーモア〜ウィットっぽさを絶やさない、風通しもよさげなスッキリしたクリアー・フレッシュ至極の道程の中で、粘っこく迫るリード(b)やキレ味鋭利かつタフ&ストロングに攻勢を掛けてくるヒース(ds)のハッスルぶりも頼もしく際立ちつつ、彼らに上手く触発される恰好で、フラナガン(p)の、当時70歳にして決して達観などせず腰も引けず一音一音に殊の外威勢のいい熱量を、パッションを感じさせる中々攻めたアドリブ至芸が、瀟洒でいてキリッと勇ましげな華々しい見せ場を飾ってゴキゲンだ。→バップ・ピアノのオーソドキシーに則った硬質で鋭角な燻し銀的ダイナミズム表現〜烈々節と、コードワークを活かした軽やかできらびやかなファンキー・リラックス・フレージング、を巧みに使い分けながら筆を進め、大凡のところ少々荒っぽくミスタッチ交じりで強引に突撃してゆくようでありつつ、しかしよく聴いてみると1曲1曲全体をストーリーの如くキッチリ"構成"し起承転結をつけているという、そのドラマツルギー=作劇センスに長じた悠々&堂々たる(多少の弾き損ないなどモノともしない)語り口の粋は全く見事。
↓CDの曲順です。LPは判明後、更新します。
1. Birdsong
2. If You Could See Me Now
3. Liza
4. Sunset And The Mockingbird
5. Raincheck
6. So In Love
Tommy Flanagan (piano)
Rufus Reid (bass)
Albert Heath (drums)
2000年11月17日イタリア-ミラノのThe Teatro Manzoniでのライヴ録音
レーベル:
Red
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