★ここ凡そ20年来ジワジワ評判を上げてきている、ピアニスト:Michel Reis(1982年ルクセンブルク市生まれ)を中心としたルクセンブルク新世代の人気ピアノ・トリオ=Reis-Demuth-Wiltgen(グループの結成は彼らがまだ学生だった1998年に遡る)の、今作は、ヴィンス・メンドーサ指揮による大編成の管弦オーケストラ:ルクセンブルク・フィルハーモニックと組み、ジョシュア・レッドマン(ts)も3曲にゲスト参加するという意欲的な一編。曲はMichel Reisを始め3者が持ち寄ったオリジナル群(アレンジはReisとメンドーサが半々ずつ担当)。
★壮大なスケールとドラマツルギーを有したオーケストラ鳴動が大河ストーリーのうねりの如くワイド&ヴォリューミーに轟く中で、アーシーなバピッシュ・ファンク色濃いめだったり耽美的ロマンティシズム満点だったりの折り目正しく歯切れよいピアノ・プレイや、バップ&ブルース&モードに由来した旨味たっぷりなテナーサックスの滑脱ブローイング、スピリチュアルでこってりコク深い肉太ベースの唸り波打ち、といったソロイスト達の活躍が各々千両役者然とテイスティー・グルーヴィーに堂々見せ場を飾ってゆく、全体を通じ、オーケストレーションの齎すシネマティックな感動と、フロントで展開されるリアル・ジャズならではのアドリブ攻勢によるグルーヴ+吟醸テイスト、の両輪で中々スッキリと胸のすく昂揚が味わえる会心打内容。
★バップ、モード、ファンクを踏まえた上でのアップトゥデイトなリズミカル・ビートに乗せた今流のシンフォニック・ジャズ快演がノリよく進められてゆき、オリジナル楽曲群の曲調はいずれもとことんメロディアスでよく歌っており、なおかつ映画音楽を思わせる作劇構造を有しているところがミソで、そうしたメリハリある行き方の途上、繰り出される銘々の即興妙技の数々が、極めてジャズ色濃いところもあり、劇伴サントラ寄りのところもありの、ヴァラエティーに富んだカラフルな盛り上がりを見せて、何げに飽きのこないフレッシュ・スリリングこの上なしの仕上がりとなっている。
★序盤では、レッドマン(ts)の圧倒的スター性を湛えた、そして曲想を重んじつつもそこから独立して自由なジャズ世界を描かんとする気魄と芳醇さに満ちたハード・ドライヴィング咆哮がさすが一人勝ちしていて、より曲に寄り添う恰好で作劇ストーリー性を守り抜くReis(p)とも好対照を成しその対比の面白味も絶品で、レッドマンが退いた後はReis(p)もリアル・ジャズ志向にシフトしてハンコックやマッコイ辺りの流れを汲んだ迫力あるアクションなども披露するが、やはり根はコンポジション重視・スコアー重視の比較的ポップでキャッチーなメロディック・アプローチを基調としており、そこへ割って入るDemuth(b)の濃い口ワザが今度はレッドマンに代わるリアル・ジャズ係を担っていたりと、さりげなくコロコロ様変りする色彩感に溢れた道程が愉しい。
1. Freedom Trail
2. Never Seen Again
3. Cross Country
4. Catherine's Song
5. Viral
6. Home Is Nearby
7. Dante
8. Where The Heart Beats
Michel Reis (piano) (arrangement on 4, 5, 6, 8)
Marc Demuth (bass)
Paul Wiltgen (drums)
Joshua Redman (tenor saxophone on 1, 3, 4)
Luxembourg Philharmonic (orchestra)
Vince Mendoza (conductor) (arrangement on 1, 2, 3, 7)
2022年7月ルクセンブルクのPhilharmonie Luxembourg録音
レーベル:
CAM Jazz
在庫有り
デジパック仕様輸入盤CD
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