★大ヴェテランのヘンリー・スレッギル(as,fl)(1944年米イリノイ州シカゴ生まれ)に、ヴィジェイ・アイヤー(p)(1971年米ニューヨーク州オルバニー生まれ)&ダフニス・プリート(プリエト?)(ds)(1974年キューバのサンタ・クララ生まれ)という中堅どころ2人が噛んだ尖鋭派の連名変則トリオ(過去15年来活動してきたらしい)の、満を持してのアルバム第1作。
★半ばアブストラクトに記号・信号を打ち鳴らすかのようなパーカッシヴな弾奏とブルースの変形っぽい情魂肌フレージングを交差させるピアノのダーク・ビター・プレイや、やや変則的ながらしっかりとノレるグルーヴ感を提供するドラムの鋭敏躍動、も各々テイスティー&ダイナミックに魅力を際立たせる中で、フロントにすっくと立つアルトやフルートの、概ねスピリチュアル系フリー・ジャズ(もしくはスピリチュアル・ファンク)の文体を用いたピリッと締まりのある咆哮が、決して吹きすぎず一定の簡潔さをもってピアノやドラムにも十分見せ場を譲る恰好でしかし殊の外華のある雄渾の映えを示した、先ずは何よりそうした花形アルトのブラック・スピリチュアリティとアーシー・ソウル溢れる威風堂々の佇まいに理屈抜きでノックアウトされる思いの会心打内容。
★アイヤー(p)やプリート(ds)はアップデートされたコンテンポラリー・ムードを適宜高め、スレッギル(as,fl)が迷わず揺るぎなく伝統的スピリチュアル・ジャズの道を行く、という、途中幾分マイルドで優しいバラード調の転回も現れるものの大凡のところ現代流の人情肌硬派フリー系っぽい熱演が頑としてシリアスに推し進められ、一滴も汗をかかずクールで理知的なフリー解釈を見せるアイヤー(p)の研ぎ澄まされたエッジ感ある立ち働きが、上手く制御されたシャープ&ソリッドな妙味を放つ一方、スレッギル(as,fl)の、妥協なくもリキまず自然体のマイペースさを保って軽やかに繰り出されるインプロヴィゼーションがさすが熟成された旨味たっぷりの冴えを、キレを呈して素晴らしい。
→ある種の黒い情念っぽさをあくまで熱くならぬゆとりや落ち着きそして切り詰められた簡潔さを身上としてどこか飄々と音像化してゆく様は、絞りやアタックが利いていながら爆発の一歩手前で踏みとどまる無駄のない鮮やかな煌めき〜巧まず構成された密度の高い充実〜を悠々と、しかもコク深く芳醇に湛えていて何げに卓越しており、これを猛追し果敢に挑みかかるアイヤー(p)の今流らしいフリー・ファンク派アプローチも中々清新に光っている。
1. Trio Piece
2. Last Night
3. I Wanted A Map
4. Where Coconuts Fall
5. Gently Trapped
6. Fire City
7. Perfect Victims
8. On The Way
Henry Threadgill (alto saxophone except 1, 5) (flute on 1, 5)
Vijay Iyer (piano)
Dafnis Prieto (drums)
2025年11月15-16日米ニューヨーク州マウント・ヴァーノンのOktaven Audio録音
レーベル:
Nonesuch
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