★グローバルに活躍し精力的に新作リリースを続ける本邦フリー派ピアノの急先鋒にして優れた名アレンジャー&名コンダクター:藤井郷子(1958年生まれ・東京都出身)の、これは、ドイツ-ビーレフェルトの老舗ジャズクラブ「Bunker Ulmenwall」に縁のある地元ミュージシャン達と2014年に結成したオーケストラを藤井が指揮する、という2014年11月22日に同所で録られていた未発表ライヴ音源の発掘・初出アルバム=2枚組。
★重厚かつ重層的なピタリと精確に息の合ったアンサンブルが勢いよく一気に爆裂するかのように轟き渡って、各人のアブストラクトだったりヴァイオレントだったりスピリチュアルだったりメディテイティヴだったりのソロ熱演も独特の妖しさをもって華々しい見せ場を織り成してゆき、全体を通じ意外にオーソドックスとも感じられるアンサンブルの整った様式美とソロイスト達のフリー派スタイルも射程に入れた生々しい暴れぶり・その烈々さとの鮮やかな対比で、メリハリに富んだ劇的世界をエモーショナルに愉しませる昂揚感抜群の会心打内容。
★概ね曲調としてはフリー・ジャズもしくはフリー・ファンクの趣を呈し、それが正統派モダン・ビッグ・バンドの応用っぽい中々スタイリッシュなアンサンブルと銘々のフリー系の領域へも踏み込みつつの奔放苛烈なインプロヴィゼーションとで、凹凸感一杯に、激動的に奏される、というのをあらましとしており、ちょっとサーカスの如き猥雑でカラフルな祝祭性も覗かせる賑々しいアンサンブル鳴動が奥行き〜スケール感を形作る中、フロントに現れるソロイスト連のそれぞれに突出した個性を有するインプロ奮戦が殊の外リアル・スリリングに味わえる展開だ。
★フォルカー・ヴィンク(ss)のスピリチュアル&アグレッシヴな切々たる激情を叩きつけるかのような咆哮がとりわけ傑出している他、マティアス・クラウゼ(p)の打楽器色全開のアナーキーな大暴れ(かと思えばクラシック寄りの耽美的な哀愁描写がまた"味"だったりもする)、Lucy Liebe(elg)のブルージー・バピッシュな粋渋道を邁進していたかと思ったらロック・フィーリングも露わにダーティーなゲリラ攻勢にも転じたりの変幻活躍、Andreas Kaling(bass-sax)のブイブイと太くヘヴィーに低音を唸って見せたりそれがいつしかフリーキー・トーンの絶叫大会へ突入して行ったりの猛ハッスルぶり、などなど、ソロ・コーナーは旨味と歯応えある、そして予断を許さぬ充実した聴きどころのオンパレードで、またそれらを巧みに束ね全体の流れをアザやかに構成してのける藤井のディレクターとしての手腕も大いに光っている。
Disc 1:
1. Shiki (Satoko Fujii)
Disc 2:
1. Yamantaka (Andreas Kaling)
2. Jasper (Natsuki Tamura)
3. Antischwarm (Luise Volkmann)
4. Gen Himmel (Satoko Fujii)
*Bunker Ulmenwall Orchestra:
Satoko Fujii (leader)
Natsuki Tamura (trumpet)
Robin Stüwe (trumpet)
Benny Meinert (trumpet)
Matthias Muche (trombone)
Stephan Schulze (trombone, tuba)
Luise Volkmann (alto saxophone)
Paul Jumaa-Dohna (alto saxohone)
Sebastian Büscher (tenot saxophone)
Volker Wink (tenor saxophone, soprano saxophone)
Andreas Kaling (bass saxophone)
Lucy Liebe (electric guitar)
Matthias Klause (piano)
Willem Schulz (cello)
Kevin Hemkemeier (double bass)
Joel Köhn (sampling, electronics)
Juri Beier (drums)
Karl Godejohann (drums)
2014年11月22日ドイツ-ビーレフェルトのジャズクラブ:Bunker Ulmenwallでのライヴ録音
レーベル:
Libra
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