★ホレス・シルヴァーやジェリー・マリガンのサイドそしてサド/メル楽団等のビッグ・バンド畑でも辣腕を揮った、学究派・理論家の側面も持つモダン・トランペットの別格的逸材:ジョン・マクニール(1948年米カリフォルニア州シスキュー郡生まれ、2024年死去)は、1978年から1983年にかけてSteepleChaseに立て続けに吹き込みを行い、その後10数年のブランクを経て1990年代後期に復帰しているが、これは、その引退期間に入る直前の1983年9月6日、スカンジナヴィア・ツアー中デンマークのオーデンセで録られていた、イェスパー・ルンゴー(b)&オーエ・タンゴー(ds)とのピアノレス・トリオによる公演の模様を捉えた初出となる未発表ライヴ・アルバム。
★鋭いキレや張りと押し潰したようなひしゃげ感が渾然一体化した、陰影豊かで味わいある、微妙に濁りの入ったスモーキー・トーンのトランペットが、伝統的バップ・イディオムに則った殺陣の型っぽいダイナミズム表現とアメリカン小唄タイプの歌謡性を掛け合わせて朗々とメロディックに躍動する、ハキハキしていながらくぐもり籠もったところもある自ずとメリハリの利いたアクティヴ・リリカル・プレイをスウィンギンに綴って、何とも粋で渋い魅力を放ち、雄弁でウォーム・スピリチュアルなドライヴ感に満ちたベースやニュアンス濃やかで精緻な打音の一つ一つに"歌"を感じさせるドラム、らのバックアップも一切外れなくノリとスリルを的確に高めきった、全体を通じピアノレスの緊密トリオならではの無駄のない高濃度な中身の詰まり様で、真っ当の極みたるハード・バップ・ジャズのピュアな醍醐味を満喫させてくれるスカッとしたクリーンヒット内容。
★ピアノレスらしく幾分ドライでザラついた音の感触が得難い「味」を成してもいる、基本はあくまで歌心とスイング感にポイントを絞った人情肌エンタテインメントの見本の如きブルージー・ハード・バップ大会がイキイキと敏活に展開してゆき、時折浮遊感を伴ったスペイシーなインタープレイ調になったり、また本盤中最もシリアスな特異点とも云える#5とかではマイルス的モード・ジャズもしくはドン・チェリー的スピリチュアル・ジャズに接近したり、などのわりかしサスペンスフルな転回も差し挟まれて上手く起伏がつけられリフレッシュ効果も齎されるが、大凡のところは抒情派体質の歌物バピッシュ路線を旨としていて、マクニール(tp)の正攻法に徹した至ってオーソドックスなバッパーぶりが旨味も満点に愉しめるというのがあらましだ。
★マクニール(tp)の、概ね前半では軽妙洒脱な吟醸感あるちょっと燻し銀っぽいシブめ・寛ぎめのテンダー・スウィンガー面(ちょっとチェット・ベイカーに似たところがある)をフル発揮して中々風流に和ませ、後半に入ってくるとマイルス・ライクなフリー・ブローイング手法にも推移してよりスリリングでハードボイルドな硬質さあるピリッとした趣を堪能させる、といった具合で、モードも経たこの当時のストレートアヘッド・ジャズらしいバランスのとれたオーソドキシーに終始していてその語り口は泰然堂々たる態を成し滋味満点で説得力も絶大。温もり豊かにウネり波打つルンゴー(b)、間を活かしつつシャープに斬り込むパンチの効いたタンゴー(ds)、らの堂に入った助演も鮮やか。
1. The Masquerade Is Over (Allie Wrubel)
2. Ladybird (Tadd Dameron)
3. Darn That Dream (Jimmy Van Heusen)
4. Si Si (Charlie Parker)
5. Out (John McNeil)
6. Summertime (George Gershwin)
7. There Is No Greater Love (Isham Jones)
8. Announcement by John McNeil
John McNeil ジョン・マクニール (trumpet except 8)
Jesper Lundgaard イェスパー・ルンゴー (bass except 8)
Aage Tanggaard オーエ・タンゴー (drums except 8)
1983年9月6日デンマーク、オーデンセでのライヴ録音
レーベル:
SteepleChase
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