★NYシーン第一線で長らく精力的に活躍し続けるヴェテラン・ベーシスト:ベン・アリスン(1966年コネチカット州ニューヘイヴン生まれ)の主導する、この顔ぶれで過去少なくとも4作品(ウエストサイド・ストーリー集とかカーラ・ブレイ集とかハービー・ニコルス集とか他)を発表していた、テッド・ナッシュ(ts,cl)&スティーヴ・カーディナス(elg)とのドラムレス・トリオによる最新アルバムが登場。
★幾分控えめだがしっかり重厚にウネり波打つベースの確固としたグルーヴ感醸成に頼もしく支えられて、丸みを帯びたクールな鳴り様が心地よいテナーの、マイルド・スムースかつブルージー・バピッシュな流麗プレイ(もしくはコク旨トーンのクラリネットの陰影豊かで浮遊感漂う寛ぎ吹鳴)が、何とも洒脱で味のある軽みに富んだ見せ場を飾り、これに被るギターの潤いと濁りの入り混じったコンテンポラリー・タイプの弾奏も香味っぽく好アクセントを成し、空間底部ではバネの利いた太いベースが絶えず多弁に情緒を歌っている、という、概ね和やかなリラックス型の美メロ溢れるリリカル演奏がジェントル&センシティヴに繰り広げられて、思わずホッとする憩いの気分に包まれる快適内容。
★インティメイトな和気あいあいムードや落ち着いた穏やかな息遣いが変らず自然に保たれる中で、歌心とスイング感を何より大切にした、ごく親しみやすくも中々センスのいい大衆娯楽の見本のような哀愁仄めく人情肌妙演が節度をもって悠然と展開してゆき、折り目正しく端麗な紳士の佇まいを絶やさぬ道程の上で、弁舌巧みかつ歌謡性に満ちたアリスン(b)の躍動ぶりが結構芳醇に屋台骨を支え続ける一方、一座の花形ナッシュ(ts)のきららかでいて決して出すぎないよくわきまえた立ち居振る舞いや、刺激少なめのスパイス役とでも云えそうなカーディナス(elg)のよぎり様、が華やかでありながら渋い滋味ある余裕の映えを見せて快調だ。
★ナッシュ(ts)の、モード色は殆ど感じられず純正ハード・バップと抒情派クール・ジャズの掛け合わせ的文体でもってリキまず滑脱に流線形をスイスイ描いてゆく感じのレイドバックしたアドリブ技(どこか淡々としたところもあってそこがまた絶妙に"クール"!)が、爽涼感も充分にグループ全体のサウンド・イメージを決定づけるメロウ・テンダーな妙味をじわり立ち昇らせていて卓抜で、かたやカーディナス(elg)の、ジム・ホール辺りを出発点にアバークロンビーやメセニー、フリゼールらの成果も踏まえた風な、あくまでマイペースで我が道を突き進む働きも誠にフレッシュで上手い味変効果。
★トータルなイメージとしてはナッシュ(ts)の趣味のよさに象徴されるが如く、白人ならではのウエストコースト・ジャズやクール・ジャズの現代版とも云えるだろう。
01. See Forever (5:27)
02. Puddle Jumper (3:53)
03. Burnt Toast & Avocado (5:53)
04. Fellas With Umbrellas (4:52)
05. Milton (4:20)
06. By Heart (5:13)
07. For Bill (5:52)
08. Back Home (4:41)
09. Ida's Spoons (4:35)
10. Peace Out There (4:33)
*total = 49:19
Ted Nash (tenor saxophone except 03, 10) (clarinet on 03, 10)
Steve Cardenas (electric guitar)
Ben Allison (bass) (maybe electric bass on 01, 05, 10)
2025年月6月28,29日米ペンシルヴェニア州バックス郡のMaggie's Farm録音
レーベル:
Sunnyside
在庫有り
輸入盤・三つ折りデジパック仕様CD