★先年のShifting Paradigmよりのデビュー作が好評を博していた、シカゴとニューヨークを行き来しつつ精力的に活動している若手女性歌手:ジュリア・ダニエルの最新アルバムがヴィーナス・レコードから登場。バックはジョン・ディ・マルティーノ(p)率いるロマンティック・ジャズ・トリオを基本としつつ、誰かが抜けたり、またハリー・アレン(ts)とジェイムズ・チリロ(g)が各々2曲ずつゲスト参入してきたりの転回もある。
★まろやかでスウィートな潤いとシャープなキレや張りが一体となった、トーン高めで透明感あるクリーンな美声が、ハキハキした明晰な発声で情感濃やかに優しく物語っぽい歌曲の世界を読み聴かせるような、それでいて背筋はキリッと伸びていてしなやかにバネの利いたリアル・ジャズ・ヴォーカルならではのダイナミックなグルーヴ表現にも堂々こなれたところを見せる、しかしトータルなアウトラインとしては躍動の中にも先ず何より抒情性を堅持した、テンダーでハートウォーミングしかも一定の凛々しさを欠かさない柔和げ演唱を滑脱に綴って爽やかな魅力を放ち、小粋で渋い軽みと機智あるピアノや、太く分厚く弾力感溢れるベース、マイペースで掠れ気味のレイジーなリラクシング・ブロウを轟かす醸熟テナー、バップの化身の如き燻し銀ギターら、インスト勢の合いの手の入れ具合をバッチリ心得た妙演の数々もノリよくゴキゲンに際立った、全編趣味のいいナイト・ラウンジで一服休憩する気分のマイルド&ソフィスティケートな行き方が続く居心地よさ抜群の快適内容。
★テンポのあるスウィンギンなトラックとスローリーなバラード調が上手いバランスで織り交ぜられるが、一貫してその根底にはインティメイトな和気や寛ぎが絶えない、"アメリカ流お座敷小唄"風の軽妙洒脱快演が小気味よくハートフルに展開してゆき、いずれもハイセンスで腕達者なバック陣のコク旨至芸にガッチリ頼もしく、かつ温かく支えられて、ダニエル(vo)の、腰を据えて伸びやかに舞い躍る、流れるようなイキな歌い回しが吹き抜ける一陣の涼風あるいは青嵐の如く颯爽と見せ場を飾って誠に清々しい。
→まずは歌詞とメロディーを大切にしたリリカルなスタイルを根幹とし、リリカルとは云っても囁き調とか語り節とは違って背筋にピーンと一本芯の通った程好いドレッシー感(適度によそ行き?)ある、敏活でちょっとクールな半劇的ストーリーテリングが大凡の旨で、そこへ転回としてブルージーなプチ・シャウトや精緻なスキャットなども豊富に盛り込まれて"ジャズ"らしい起伏メリハリが齎され、だが俯瞰してみるとあくまで軽やかで瀟洒な人情味や吟醸感を絶やさぬ歌声キャラにスッキリと収束している、という、その初々しさと練達の並立したアジな個性のあり様はゆとり&節度も過不足なく備わっていて説得力十二分だ。
★間の妙を活かしたファンキーなディ・マルティーノ(p)や、スモーキーでけだるいリラクゼーションとパンチの利いた威勢のいいダイナミック・アタック!を鮮やかに使い分けるアレン(ts)など、演奏面の卓越した聴きどころも一杯。
01. ウォッチ・ホワット・ハプンズ Watch What Happens (Michel Legrand - Norman Gimbel) (vo-ts-p-b-ds)
02. マイ・オールド・フレイム My Old Flame (Arthur Johnston - Sam Coslow) (vo & p duo)
03. アイ・クライド・フォー・ユー I Cried For You (Gustavo Arnheim, Abe Lyman - Arthur Freed) (vo-p-b)
04. ユア・ルッキング・アット・ミー You're Looking At Me (Bobby Troup) (vo-elg-p-b)
05. リメンバー Remember (Irving Berlin) (vo-p-b-ds)
06. アイ・ラブ・ユー I Love You (Cole Porter) (vo & b duo)
07. アーリー・オータム Early Autumn (Ralph Burns, Woody Herman - Johnny Mercer) (vo-p-b-ds)
08. ルック・オブ・ラブ The Look Of Love (Burt Bacharach, Hal David) (vo-acg-p-b-ds)
09. モア・アイ・シー・ユー The More I See You (Harry Warren - Mack Gordon) (vo-ts-p-b-ds)
10. ユー・ターンド・ザ・テイブルス・オン・ミー You Turned The Tables On Me (Louis Alter - Sidney D. Mitchell) (vo-p-b-ds)
Julia Danielle ジュリア・ダニエル (vocal)
John Di Martino ジョン・ディ・マルティーノ (piano except 06)
Boris Kozlov ボリス・コズロフ (bass except 02)
Vince Cherico ヴィンス・チェリコ (drums except 02, 03, 04, 06)
Harry Allen ハリー・アレン (tenor saxophone on 01, 09)
James Chirillo ジェームズ・チリロ (electric guitar on 04) (acoustic guitar on 08)
2025年3月15日,5月19日,6月14日米ニュージャージー州パラマスのTrading 8's Studio録音
レーベル:
ヴィーナス・レコード (Venus Records)
在庫有り
国内制作SACD-HYBRID仕様CD