★1987年より凡そ40年近くニューヨーク・シーンで活動し、メイナード・ファーガソン、マリア・シュナイダー、秋吉敏子他、ビッグ・バンド経験も豊富、A-RecordsやChallenge、ArtistShare、SteppleChase等よりの諸作に好評を集めてきた、音楽教育者としても名を馳せるコンポーザー肌のヴェテラン・アルトサックス名手:デイヴ・ピエトロ(1964年米マサチューセッツ州サウスボロ生まれ)の、今回は、スコット・ウェンホルト(tp)やゲイリー・ヴェルサーチ(p)ら馴染みの精鋭達とのスモール・コンボ(フル状態でクインテット)による自作曲中心の一編。
★息の合った重層性と色彩感ある2管アンサンブルが旗めくように颯爽と鳴動した後、絞りとソフトさを兼備したニュアンスに富む音色のアルトがモーダルとファンキーの間を往来する人情味に満ちた滑脱メロディック(またある時は苦味走った精悍ハードボイルド)・プレイをイキイキと綴って、雄々しく勇ましくもおいしい吟醸感溢れる華を成し、乾いたトーンで微妙に濁りの利いたビターな立ち回り技を繰り出すトランペットや、マイルドな哀愁ロマンを香り立たせる端麗ピアノ、らの助演もカラフル&テイスティーに魅力を際立たせた、全編今日流ポスト・バップの正統らしいダイナミック・スウィンギンにしてリリカルな進撃が続いて、スッキリと胸躍らせてくれる快投内容。
★旋律や和声の美と安定律動的スイング感を何より重んじるも決して甘すぎない、ブルース・フィーリングやバップ・スピリットも自ずと潤沢に備える、一定の凛々しさ・毅然さを堅持した理知性を感じさせる抒情派アクション調の闊達演奏が敏活に展開してゆき、重心を据えて精確に揺れ躍るリズム・セクションの援護射撃もばっちりグルーヴィーにツボにハマりつつ、彼らに上手く触発される恰好で、ピエトロ(as)の、大凡のところゆとりと節度と落ち着きを保った軽みあるアドリブ妙技が何とも粋に冴え渡って清々しい。
→パーカー、マクリーン、ウッズらを踏まえていそうだが独特のソフトな鳴り様によってそれら先人達とは違った印象のサウンド・キャラに仕上げており、ソフトとは云ってもP・デスモンドほどのクール・テンダーなロマンティックさはなく芸風はあくまでシリアス志向で、キャノンボールとまでは行かぬもライトなブルージー傾向が認められたり(#3とかではオーネットのブルース面を踏襲したアプローチも見せる)、モード色もナチュラルに身についてはいるもののコルトレーンやK・ギャレット辺りの熱いアグレッシヴさとは全く無縁だったり(やはり"脱力"調子にこそ本領ありか)と、誰にも似ず絶妙のバランスで成立したレイドバック感と旨味あるそうした(全く汗をかいていない)個性のあり様は中々にフレッシュで爽やかさもバツグン。
★ピリッとしたスパイス効果と翳りあるドライな躍動咆哮で交差してくるウェンホルト(tp)や、スマートな唯美的エレガンスの醸成を一手に担うハイセンスさが身上のヴェルサーチ(p)、らのピエトロとは鮮やかにコントラストを示した活躍もナイス。
1. Svengali (Dave Pietro)
2. Promises, Promises (Burt Bacharach)
3. B & H (Dave Pietro) (as-tp-b-ds quartet)
4. The Butterfly Effect (Dave Pietro)
5. Idle Tears (Dave Pietro)
6. Free Man In Paris (Joni Mitchell) (as-p-b-ds quartet)
7. Taboo To Love (Stevie Wonder) (as-p-b-ds quartet)
8. Mr. Breitenfeld (Dave Pietro) (as-p-b-ds quartet)
9. Sunyata (Dave Pietro)
Dave Pietro デイヴ・ピエトロ (alto saxophone)
Scott Wendholt スコット・ウェンホルト (trumpet except 6, 7, 8)
Gary Versace ゲイリー・ヴェルサーチ (piano except 3)
Jay Anderson ジェイ・アンダーソン (bass)
Adam Cruz アダム・クルス (drums)
2025年3月 録音
レーベル:
SteepleChase
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入荷予定時期:2026年1月上旬〜中旬 受注締切:2025年11月7日
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