★北欧の8人アンサンブル・チーム:Scandinavian Art Ensemble(2トランペット、テナーサックス、ヴィブラフォン、ピアノ、ベース、ドラム、女性ヴォイスから成る)の、ポーランド出身の伝説的トランぺッター:トマシュ・スタンコ(1942-2018)をスペシャル・ゲストに迎えて2016年2月デンマーク-コペンハーゲンで行なわれたスタジオ・セッションの第2弾アルバムが登場。
★リズム・セクションの端正でエレガントな様式美的鳴動にしっかりと支えられ、ノセられて、やる瀬なく唸るような昏いトランペットの咆哮や、レイジーで頽廃的なテナーの滑脱ブロウ、妖しい魔性漂う女性ヴォイスの呟き、思索性や内省感を孕んだピアノのメディテイティヴ弾奏、などが典雅かつ奥行き深遠に甘くない華を成し、ゆったりトグロを巻くが如き浮遊感渦巻くバラード・スタイルを大凡の基調としているがそれが次第に半アブストラクトな激しさを加えたインプロ合戦に推移したり、スタンコと思しき硬質でシビアげなトランペットの迫真砲撃を中心としてアコースティック最末期のマイルス・クインテットに似たサウンドが形作られたり、といった転回も見せて、詩情や唯美性とエッジの効いた破壊力とがごく自然に並立したピリッとした味わいのリリシズムの世界をスリリングに、そして幽玄豊かに愉しませる独創内容となっている。
★ECMの諸作とかにどこか底通するところのある、現代ヨーロッパの抒情派ならではの苦味走ったシリアスでハードコアなポエティック・サスペンス妙演がキレ味鋭利に進められてゆき、詩的ロマンティシズムには事欠かぬも甘さは微塵もなく精悍軒昂なソリッド感の保たれた鬼気迫る道程の中で、詩人であり真剣勝負のアクション師でもあるスタンコ(tp)並びに概ねスピリチュアル・ジャズの文脈でこれに続く他メンバー連のアドリブ奮戦が、極めて高密度に見せ場を分け合って大いに昂揚させられる。
★トランペットはスタンコを含めて3人いるので実のところ判別は中々困難なのだが、恐らくはスタンコと思われるうち1人の、強硬でビターな辛口の大立ち回りにあっても決して美を犠牲にしない、即ちクシシュトフ・コメダの精神を継承した行き方であったり、1960年代マイルスのフリー・ブローイング面を踏襲した感じのある烈しい雄叫びであったり、などの躍動ぶりがこの晩年においても全く衰えることなく益々意気盛んなハジけ具合を示していて実に見事で、また陰影に富んだ瞑想的ダイナミック・プレイに妙味を発揮するTuźnik(p)や、けだるさと猛々しさがない交ぜになったブオブオ吠えるデカダン&タフなHass(ts)、時には異形にミステリアスな夢幻トリップ感をじわり齎すSulkunen(voice)、らの敢闘も抜群の鮮度で光っていたりと、旨味&歯応えあるソロの聴きどころは豊富だ。
1. So Nice (7:53)
2. Morning Ballad (9:20)
3. 3rd For Eruption (2:35)
4. April Moon (3:56)
5. Anti-Freeze (8:51)
6. Sunrise (8:08)
Tomasz Dąbrowski (trumpet)
Snorri Sigurðarson (trumpet)
Thomas Hass (tenor saxophone)
Martin Fabricius (vibraphone)
Artur Tuźnik (piano)
Richard Andersson (double bass)
Radek Wośko (drums)
Johanna Elina Sulkunen (voice)
*special appearance:
Tomasz Stańko (trumpet)
2016年2月19日デンマーク-コペンハーゲンのThe Village Recordings録音
レーベル:
April Records
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輸入盤・見開き紙ジャケット仕様CD