★1970年代よりフランスのジャズ・シーンで多角的に活躍、1980年に自己楽団:ビッグ・バンド・リュミエールを結成して一躍頭角を現し、ギル・エヴァンスやエレクトリック・マイルスの音楽を徹底研究した進歩的アレンジャー(&キーボード奏者)として、自己楽団と並行しつつ多方面で超精力的に辣腕を発揮、Open Jazzibao、EmArcy、Verve等から発表したアルバムがいずれも高い評価を得、文筆家としても著名で(G・エヴァンスやマイルスの研究書、評伝などの著作がある)、1990年代半ばにはフランスの国立ジャズ・オーケストラ:ONJ(Orchestre National De Jazz)の音楽監督を務め、近年も依然幅広いフィールドで旺盛に英才を揮っている、今日のフランス・ジャズ界を代表する名アレンジャー&コンダクターの一人:ローラン・キュニー(1955年フランスのラ・ガレンヌ=コロンブ生まれ)の、本盤は、自身のエレピを含む、3管フロント、エレキギター、2エレピ、オルガン、ベース、2ドラムから成るテンテットを率いての、2022年9月に吹き込まれ翌2023年にリリースされていた一編。
★シャープに空を刻みながらダイナミックなタックルをカマしてくる2ドラムの鳴動がリズミカルに歯切れよいノリを提供し、エレピ陣やオルガン、ギターらが微妙にミステリアスな幻想ムードを醸し出す中で、管楽器勢の今日流モーダル・ポスト・バップの正統然たるエモーショナル&グルーヴィーなプレイが旨味豊かに華を飾り、ファンク・フィーリング溢れるエレピのアーシー・アクション弾鳴も随所で魅力的彩りを加えた、全編ノリにノッたビート・グルーヴ感の快適さと各人の充実したテイスティーなソロとで結構スッキリと愉しませる好投内容。
★大凡のところ、「ビッチェズ・ブリュー」の頃のエレクトリック・マイルス・サウンドをよりシンプルに分かりやすく現代版娯楽路線化した、とでも云えそうな、要するにM-BASE派やフューチャー・ジャズ辺りを全く経由していない親しみやすさ抜群の明快バピッシュ・ファンク熱演が、颯爽とスタイリッシュかつストレートに展開してゆき、あくまで晴れ晴れと交通整理された輪郭も鮮明で至ってエンターテイニングな道程の中、アレンジ&構成にも程好く巧緻な創意が凝らされていてメリハリや色彩感が上手い按配で齎されるものの、ざっくり聴けば前面で活躍するソロイスト達のアドリブ奮戦が興趣の肝を成しており、ハード・バップのセッション物のような感覚で大いに昂揚できる寸法だ。
★思索性とアグレッシヴさの間をわりかしクールに往来するゲルパン(ss)、筋金入りのバッパー気質な鋭敏ブロウで吟醸感を振りまくゴマリ(tp)、重厚&ダークにこってりいななくギョーム(bcl)、ブルース・ロック風だったりちょっとジョンスコ似だったりのコンテンポラリー色濃いコジア(elg)、ダウン・トゥ・アースなコク旨感と涼やかでスマートなカッコよさや潤みを的確に使い分けるキュニー(elp)&ドゥ・ベトマン(elp)、何げにばっちりソウルフルなクーロンドゥル(org)、などなど、粋で渋くてイナセさ溢れるソロの名場面が目白押し。
1. Liviore
2. Woodstock
3. Boogie Woogie Waltz
4. L'Air Que L'On Respire
5. Pyramidal Vision
6. I Want You
7. Salamero
8. Mr. Foster
9. Mood Indigo
Quentin Ghomari (trumpet except 8)
Martin Guerpin (soprano saxophone except 8)
Stéphane Guillaume (bass clarinet except 2)
Manu Codjia (electric guitar)
Laurent Cugny (electric piano)
Pierre de Bethmann (electric piano)
Laurent Coulondre (hammond B3 organ)
Jérôme Regard (bass on 1, 3, 4, 5)
Clément Daldosso (bass on 2, 6, 7, 8, 9)
Stéphane Huchard (drums)
Antoine Paganotti (drums on 1, 3, 4, 5, 6)
Élie Martin-Charrière (drums on 2, 7, 8, 9)
2022年9月フランス-ヴィユタヌーズまたはヴィルタヌーズ(Villetaneuse)のStudio Midilive録音
2023年フランス作品
レーベル:
Frémeaux & Associés
在庫有り
輸入盤スリーヴケース仕様CD
VIDEO