云わずと知れた硬派雄渾なるブラック・スピリチュアル・テナーの熱き使い手=1970年代のブラック・ジャズ・シーンを強力にリードした熱血&質実剛健の要人:ビリー・ハーパー(1943年米テキサス州ヒューストン生まれ)の、本盤は、トランペット入りのクインテットによる1979年3月旧西独シュトゥットガルトで吹き込まれた傑作(MPS原盤)の国内初CD化(海外では以前ビリー・ハーパー・ファン・クラブからCD-R版が出たことがある)。引き締まった隆々トーンで適度にフリーキー音も織り交ぜながら勇ましく高らかに熱情的スピリチュアリティを歌い上げるテナーの、独特の"闘魂"を感じさせる雄叫び風のエネルギッシュ&パッショネート・プレイが精悍な凛々しさと気魄に満ちた堂々たる華を飾り、根はバッパー気質っぽい鋭敏トランペットや、ダウン・トゥ・アースなブルース色濃い骨太ピアノ、饒舌なまでに執拗にウネりまくるバネも利きまくりのゴリッとしたベース、キレ味抜群にビートを刻み強靭に体当たりをカマしてくるドラム、らの活躍も各々鮮やかにツボにハマッた、全編に渡り「70年代ブラック・スピリチュアル・ジャズ」もしくは「70年代モーダル・ハード・バップ」の正しい見本のような、完全燃焼のダイナミック熱演が続いてスカッと壮快に昂揚させてくれる充実の会心打内容。熱血で剛健な硬派筋の猛々しさと激情がハジけるような哀愁雄渾の歌謡性に溢れ、安定律動的にガッチリと歯切れよくスイングする、モード・ジャズの正統らしいホットで躍動感みなぎった突撃驀進がひたすら意気軒昂に展開してゆき、サイド陣の堅実にして芸の細かいバックアップに上手くプッシュされる恰好で、ハーパー(ts)の気力もワザもイマジネーションも絶好調なイキイキとしたアドリブ奮戦が、とことん鮮麗に花形映えを見せて胸のすく思いだ。→コルトレーンの流れを汲んだ音数多めのアグレッシヴな大立ち回りのアクション咆哮を最得意とするが、ハーパーの場合コルトレーンに比してよりシャープ&タイトな絞りや軽みを感じさせるところも多々あって、これが結構ヤング・フレッシュな魅力へ繋がっており、また時折コルトレーン・モードから離れてブルースやハード・バップに接近する辺りにも新味があるなど、最早誰の模倣でもない独自のスタイルが頑として確立されていて旨味&説得力は満点。ハーパーのモーダル吠えに続いて現れるホリンズ(tp)のハード・バップ色担い係ぶりや、ドネリアン(p)の白人らしからぬアーシー&ソウルフルな漆黒ブルースマンぶり、もそれぞれハーパーと好対照を成してナイス・アシスト。
1. Trying To Make Heaven My Home トライング・トゥ・メイク・ヘヴン・マイ・ホーム
2. Inside インサイド
3. Love On The Sudan ラヴ・オン・ザ・スーダン
Billy Harper ビリー・ハーパー (tenor saxophone)
Everett Hollins エヴェレット・ホリンズ (trumpet)
Armen Donelian アーメン・ドネリアン (piano)
Wayne Dockery ウェイン・ドッカリー (bass)
Malcolm Pinson マルコム・ピンソン (drums)
1979年3月3&4日旧西ドイツ-シュトゥットガルト、シュガーファブリック(Zuckerfabrik)のTonstudio録音
レーベル:
Solid ウルトラ・ヴァイヴ(Ultra-Vybe) MPS
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2025年10月8日発売予定 受注締切:2025年9月8日
国内盤CD
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