★ドイツ・ジャズ界を代表するモダン・ベースのヴェテラン実力者:ディーター・イルク(1961年旧西ドイツ バーデン=ヴェルテンベルク州オッフェンブルク生まれ)の、最新作となる本盤は、ライナー・ベーム(p)&パトリス・エラル(ds)との16年余続く鉄壁のレギュラー・ピアノ・トリオに、一部ティル・ブレナー(tp,flh)も客演しつつの一編。
★鋭い爪っぽさと団子的ドライヴ感や弾性を渾然一体化させつつウネウネと波打ち揺れ躍る太いベースの唸りが、空間に圧倒的グルーヴを齎し、またグループ全体の方向性を決定づける中で、歯切れよくも潤いある、透明感と陰影が鬩ぎ合う感じの端正なタッチのピアノが、力学性と耽美性を掛け合わせたヨーロピアンらしいビタースウィートなモード節だったり、アーシー・ブルージーなイナセ肌の吟醸フレージングだったり、センシビリティへ振りきった哀愁フォーキー・バラード或いはダイナミズムへ振りきった殺陣アクションだったりと、硬軟剛柔併せ持ったどちらかと云うと抒情指向寄りのメロディック・グルーヴィー・プレイを敏活に綴って、手堅くも鮮度抜群の魅力を放ち、多弁雄弁に賑々しく攻勢を掛けてくるシャープなドラムや、随所に浮かび上がってはスピリチュアル・スウィンギンに力強く情感を唄い上げるベース(の黒幕ぶり・ナヴィゲートぶり)、らの活躍も頼もしげに際立った、全体を通じ大凡のところ現代ヨーロッパのピアノ・トリオならではのソリッドでいてエレガントでもある詩的世界を清新に愉しませるクリーンヒット内容。
★旋律や和声の美しさと律動的ノリのよさを何より重んじる、ブルース・フィーリングやバップ・スピリットも過不足なく備わった躍動型ポエティック演奏が闊達げに展開され、イルク(b)の、先ず音そのものがヴォリューミーで結構目立つ、そのソウルフルなウネり様がそこかしこで主役の座に侵攻してくるスリリングで色彩メリハリある道程の中、しかし一座の花形であるベーム(p)の慌てず焦らず落ち着きと節度を保った半ば抑制型のアドリブ技が、イルクの猛ハッスル躍動を横目にゆとりある見せ場を粛々と(涼しそうに)飾って爽快だ。
→ユーロ系特有のクラシックや民謡などに根ざした吟遊牧歌詩人風の嫋やかなマイルド・ロマネスク・フレージングと、ハンコックやコリアの流れを汲んだアクティヴ・モード・ピアノの正統らしい立ち回りワザをバランスよく細かに交差させることによって、一本調子に陥らぬフレッシュなスリル充分の文脈を形作り、時には似てはいないもののジャレットやL・ヤンソン辺りに底通するフォーク・ソングとブルース(もしくはゴスペル?)の折衷的なバラード解釈にちょっとクールめの新味を発揮したりなど、そのスタンスにブレるところのない繊細真摯な語り口は説得力十二分。
★2曲に登場し、折り目正しく慎重な、誠心こもった美メロ・プレイで一気に座をさらうブレナー(tp,flh)の敢闘も光る。
01. Schwarzwaldfahrt
02. Anundfürsich *
03. Glorious
04. Soil
05. Motherland
06. Time For A Change
07. Menuet *
08. People Make The World Go Round
09. B
10. Close To You
11. It's Time To Change *
(*=CD版のみ収録)
Rainer Böhm ライナー・ベーム (piano)
Dieter Ilg ディーター・イルク (bass)
Patrice Héral パトリス・エラル (drums)
Unknown (percussion? on 04)
special guest ゲスト:
Till Brönner ティル・ブレナー (trumpet on 01) (flugelhorn on 10)
2024年9月10-12日イタリア-Mantua(マントヴァ?)のDigitube Studio録音
2025年ドイツ作品
レーベル:
Jazzline
御予約商品
輸入盤CD
入荷予定時期:2025年9月中旬 受注締切:2025年8月21日
※発注先案内の入荷時期を記載しておりますが、入荷時期は予告なく変更になる場合もございます。ご了承くださいませ。
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