★コンテンポラリー硬派ギターの手練の使い手=ヴェテラン名匠:ポール・ボーレンバック(1959年米イリノイ州ヒンズデール=Hinsdale生まれ)の、久しぶりのリーダー・アルバムとなる本盤は、長らく共演を重ねてきた(今や主流派シーンになくてはならない存在となった超多忙を極める)ベースのボリス・コズロフ(1967年旧ソ連のモスクワ生まれ)との差し向かいのデュオ演集。
★潤いとキレを兼備し、スモーキーな翳り(や濁り?)を帯びるところもある、中々ニュアンスに富んだ旨味溢れるトーンのギターが、バップ・ギターの基本スタイルを根幹としつつ、アーシー傾向やコンテンポラリー傾向あるいはまたクール傾向などを按配よく加味してリキみなくもデリケートに哀歓を歌い上げる、自然体調子のリリカルでマイルド・メロディックそれでいてちょっとビターなスパイスも効いた情緒型グルーヴィー・プレイを幾分アンニュイ&センシティヴに綴って、ごく親しみやすくも幽玄深き風流な魅力を放ち、ドライヴ感満点にしてコクのあるウォームな躍動ぶりでこれに応えるベースの弾み踊り様も的確にノリと美味さを高めた、全体を通じ人情娯楽的ギター物の王道を行くシンプル・ストレートな邁進が続いて、そのわりかしイナセな音世界に心地よく浸らせてくれる充実の好演内容。
★歌心とスイング感に大方のポイントを絞り、ブルース・フィーリングやバップ・スピリットも自ずと潤沢に備わった、抒情指向型エンタテインメントの見本のような歯切れよく摑みのいい行き方が進められ、コズロフ(b)の温もりに溢れ優しく包み込むようでもある重厚で太いウネり鳴動に安定してガッチリ頼もしげに支えられ、ノセられながら、ボーレンバック(g)の、モダン・ジャズ・ギターの歴史・伝統に深い敬愛を表しつつの滑脱なアドリブ妙技が、ひたすら渋くて粋なテイスティー・グルーヴィーこの上なしの見せ場を飾ってゴキゲンだ。
→バップ・イディオムに則った燻し銀の趣ある殺陣の型っぽい立ち回りや、ベンソン〜グリーン系もしくはバレルをいくらかソフト化してようでもあるダウン・トゥ・アース&ソウルフルなブルース節、ウェス・ライクな熱気を孕んだ鋭利オクターヴ奏法、J・ホールやJ・レイニー辺りに底通するクール・メロウで仄暗い憂愁描写、似てはいないがジョンスコ〜アバークロンビー〜メセニーらの成果を踏まえたと思しきコンテンポラリー(またある時はファンク)・フレージング、そして急転的に繊細さと端正さを強めたアコースティックに持ち替えての爽やかなボッサ調など、多岐に渡ったプレイをあくまで余裕と節度を絶やさず達観したが如く粛々と軽みをもって紡ぎきる姿は正に雅(みやび)の極み。
01. Lope (Paul Bollenback)
02. In A Sentimental Mood (Duke Ellington)
03. After-Thaw-T (Paul Bollenback)
04. Also (Paul Bollenback)
05. Emily (Johnny Mandel)
06. B's Bounce (Paul Bollenback)
07. Child's Play (Paul Bollenback)
08. G Blues In Bb (Paul Bollenback)
09. Vernal (Paul Bollenback)
10. Benny's Vibe (Paul Bollenback)
11. Jittery Bugs (Paul Bollenback)
12. Confrontation (Boris Kozlov)
Paul Bollenback ポール・ボーレンバック (electric guitar except 05, 07, 09) (acoustic classical guitar on 05, 07, 09)
Boris Kozlov ボリス・コズロフ (bass)
2024年10月録音
レーベル:
SteepleChase
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輸入盤CD
入荷予定時期:2025年9月上旬 受注締切:2025年7月31日
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