★マーシャル・ソラール(p)(1927年フランス領アルジェリアのアルジェ生まれ、2024年フランス-イヴリーヌ県ヴェルサイユで死去)とニールス・H・Ø=ペデルセン(b)(1946年デンマーク-シェラン島のオーステッド生まれ、2005年デンマークのイショイで死去)、という超絶名手の二人がガッチリ組み合った、1976年4月旧西ドイツ-フィリンゲン シュウェニンゲンのMPSスタジオ録音の傑作デュオ・アルバムの、世界初CD化。
★強固堅牢でキレのある、重心のしっかり据わったストーン・タッチのピアノが、ブルージーに律動スイングするバップ・ピアノの一典型らしい節回しを根幹としながら、並行して結構アクロバティカルな曲芸めいた虚を衝く速攻アクション技をも装飾フレーズとして多分に盛り込んでゆき、その流れをエッジの効いた組み立てに仕上げるという、トータルとしてはブルース&バップ由来の粋渋な吟醸感に溢れると同時にいい意味で落ち着きのない、聴く者にとってはそう安心していられない起伏烈しく迫真力満点の奔放スリリング・グルーヴィー・プレイ、を安定して精確なハイ・テクニックをもって嬉々溌溂と綴って殊の外エキサイティング&ダイナミックに堂々たる華を成し、そうしたピアノの遊撃性と突発力に富むアプローチに呼応する恰好で、分厚くも強烈にバネの利いたベースの音数多く撥ね躍るようにスピーディーに攻勢を掛ける半ゲリラティックな激動ぶりも、こってり濃い旨味を振りまきつつグルーヴとサスペンスを的確に高めきった、全編スウィンギンでいてこれぞリアル・インタープレイの真髄然としたやりとりを、圧倒的生々しさで鮮度抜群に愉しませる濃密な敢闘内容。
★大雑把に見れば歌心とスイング感を何より重視する娯楽活劇的行き方を変らず旨としており、ブルースに根ざした芳醇なメロディーの唄い様やノリにノッたその躍動サウンドを快適に満喫できる面もあるが、一方でソラール(p)の好もしくヒネクレた屈曲的大立ち回りに象徴される必ずしもカタギでない歌心、或いはペデルセン(b)の不規則に烈しくウネりまくって次第に定形ビートから逸脱してゆくところもあるこれまたカタギでないスイング感、といった要素が一触即発の起爆感孕むインタープレイのスタイルで豊富に顕示されもし、中々予断を許さない道程を実にフレッシュに味わえる寸法だ。
★ソラール(p)の、ブルージー・バピッシュでイキな小唄センス十二分のスインギー節に心地よく引き込んだかと思えば、一転してハードな超絶技巧の殺陣っぽいスピード感に満ちた力学アタックを炸裂させて威嚇したりと、オーソドキシーを踏まえた上でのそのピリッと突起したスパイシー&ソリッドな独自の語り口(→豪放でありながら構築的でもある辺りがさすがソラール一流!)が鮮麗に冴え渡っており、かたやペデルセン(b)の、ソラールとの対比でより"真っ当さ"の際立ったコク深くハートウォーミングな敏活メロディック・ドライヴィング・プレイもまた絶好調。
1. ベムシャ・スイング
2. マイ・ワン・アンド・オンリー・ラヴ
3. ノート・アビリティ
4. ザ・コンチネンタル
5. ラロス
6. アフタヌーン・センチメンタル
7. 枯葉
8. ドナ・リー
Martial Solal (piano)
Niels Henning Ørsted-Pedersen (bass)
1976年4月26日旧西ドイツ-フィリンゲン シュウェニンゲン(Villingen)のMPS Studio録音
レーベル:
Solid ウルトラ・ヴァイヴ(Ultra-Vybe) MPS
在庫有り
国内盤CD