★円熟の快進撃が続く現代ハード・バップ・テナーの横綱スター:エリック・アレクサンダー(1968年米イリノイ州ゲイルズバーグ生まれ)の、今回は馴染みの盟友デイヴィッド・ヘイゼルタイン(p)をフィーチュアしたカルテットによる、アルバム全体が故スタンリー・タレンタインに捧げられた、タレンタインが得意としていたレパートリーをメインとする一作。
★絞りの利いた隆々さとまろやかなソフトネスを併せ持つ、ニュアンス&旨味に富んだ芳醇トーンのテナーが、渦巻くようなハード・ドライヴ感全開で熱くアグレッシヴに登り詰める沸騰的速射砲撃アクションと、吟醸テイスト溢れるダウン・トゥ・アースなブルース節を織り交ぜた、ひたすらダイナミックにスイングする硬派筋のジグザグ・メロディック・プレイを敏活滑脱に綴って、粋でイナセで猛々しさみなぎった堂々たる華を成し、"ファンキー・バップ"を根幹としながら時折モード色濃い熱情的攻勢にも転じるピアノの助演も鮮やかにツボにハマッた、ベース&ドラムのモーレツに突撃律動するハッスルぶりも奏効して、ワンホーン・ハード・バップの鑑たるその雄渾の躍動世界に壮快にノセられっぱなしなスカッとした好投内容。
★親しみやすいメロディーの美と安定して重みをもって揺れ躍るノリのよさを何より大切にし、現代リアル・ジャズならではの立ち回りの迫真力=生々しいスリルにも事欠かぬ、そして全体を通じソウルフルなブルース色も強調されたストロングにして洒脱さ漂う直球勝負のハード・バピッシュ快演、が溌溂と意気軒昂に展開してゆき、リズム・セクションの堅実かつ芸の細かいバックアップにガッチリ支えられ、触発されて、アレクサンダー(ts)の、気力も充実しきった精悍で凛々しく人情味満点のアドリブ奮戦が絶好調に冴え渡ってゴキゲンだ。
→一貫してリキみを解いた自然体のマイペースさを保ち、いつものように、音数多く逞しきタフネスを揮いきって激烈に吠えまくる面と、より洗練されスマート&スムースにレイドバックした波乗り調子の寛ぎ面、とを概ね半々ずつぐらい上手く使い分け、更に本作ではスタンリー・タレンタイン・トリビュートというコンセプトもあってか、結構アーシー・カラーを強めて粘っこく歌い、ホンカーに接近した執拗な(このクドさがナイス!)泣きのシャウトぶりがまた愉しかったりもする、といった具合で、そうした生粋のエンタテイナー、生粋のスター然とした吹鳴のあり様はさすがの美味さと説得力を放つ。
★いつもは純正バッパー・タイプのファンキー・ダイナミック技を本領とするヘイゼルタイン(p)が、珍しく#1とかではマッコイの流れを汲んだ熱血スピリチュアル大攻勢を見せたりして、そういう意表を衝いた"モーダルなヘイゼルタイン"というのも中々貴重で新味がある。
1. Jave
2. Triste
3. Like Sugar
4. Early Morning Stroll
5. The Way We Were
6. Is It You
7. Maria (Bffwsa)
8. Love Letters
Eric Alexander (tenor saxophone)
David Hazeltine (piano)
Dennis Carroll (bass)
George Fludas (drums) (possibly percussion on 1, 3, 6)
2024年11月1日米ニュージャージー州イングルウッド・クリフスのVan Gelder Studios録音
レーベル:
Cellar Music (Cellar Live)
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