★云わずと知れたヨアヒム・キューン(p)(1944年ドイツのライプツィヒ生まれ)&ダニエル・ユメール(ds)(1938年スイスのジュネーヴ生まれ)&ジャン=フランソワ・ジェニー=クラーク(b)(1944年フランスのトゥールーズ生まれ、1998年フランスのパリで死去)の最強トリオによる、これは1992年から93年にかけてのヨーロッパ・ツアー中、デンマークやフランスで録られた未発表ライヴ音源をまとめた価値ある発掘アルバム。
★奔放苛烈な絨毯爆撃風に攻め込んでくる敏捷ドラムや弾力を利かせて重厚に躍りウネる肉太ベース、らに頼もしく煽り立てられながら、硬質でキレのある鋭角的タッチのピアノが、ブルージー・バピッシュ或いはモーダル・スピリチュアルなスウィンギン節を起点としつつ、多分に盛り込まれるハードな殺陣風のダイナミズム表現が嵩じて結構アクロバティカルに半アブストラクトの領域へも自ずと踏み込んでゆく、その、どんなに激烈複雑な速攻アクションも精確極まる打鍵でシャープ&クリアーに、鮮明にキメきって見せた辛口詩情派アクティヴ路線の究みたる孤高のソリッド・ロマネスク・プレイ、を実にイキイキと生命力満点に綴って殊の外エキサイティングな華を成し、歌心全開でコク深く波打つベース並びに百発百中のアザやかな斬り込みアタックを仕掛けるドラム、にも随所でスポットが当てられてフレッシュな色彩感やメリハリが齎された、全編三者の気力も最高潮のエモーショナル&ハイテンションなエネルギッシュ熱演が続いて問答無用っぽくグイグイ引き込まれ、昂揚させられる、さすが超練達の高密度内容。
★甘さを排し徹底して苦味走ったシリアスな立ち回りの迫真力や正三角形的インタープレイの生々しい緊張感を第一義とし、そういう格闘戦的やりとりの中にもキューン(p)始め銘々が巧まずナチュラルに持ち合わせた独特の詩心や歌性が絶妙の塩梅で顔を出す、といった感じの、幾何学抽象主義に最大限接近したリリカル・ピアノ・トリオの極北とも云うべき1ミリもブレぬ悔いなき完全燃焼の敢闘がガンガン推し進められてゆき、とりわけやはりキューン(p)の、確固として、決然としてハードボイルドな力学攻勢に明け暮れる迷いのない超絶ピリッとした勇猛活躍が圧巻だ。
→打楽器的解釈でもって速射砲撃風に曲芸めいた矢継ぎ早の連続強打ワザをこれでもかとワイルドかつ巧緻に叩きつけてくる、ダイナミクスの権化たるその大攻勢には理屈を越えた鬼気・凄味がみなぎっており、これにスピリチュアリティや哀愁の歌謡性を加味して幾分かマッコイに寄った#5での豪胆メカニカルでありブルージー・メロディックでもある雄渾のメランコリー描写、辺りにもまた奥深い新味がある。これは正に天下無敵。
1. India (John Coltrane) 12:26
2. Heavy Hanging (Joachim Kühn) 11:55
3. Guylène (Daniel Humair / Joachim Kühn) 18:38
4. From Time To Time Free (Daniel Humair / Joachim Kühn) 17:41
5. Summertime (George Gershwin) 10:26
Joachim Kühn (piano)
Daniel Humair (drums)
Jean-François Jenny-Clark (bass)
1992年5月18日デンマークのMainz,
1993年2月12日フランスのMetz,
1993年5月25日フランスのChambéryでのライヴ録音
レーベル:
Frémeaux & Associés
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