★イタリアのキャリアある中堅実力派ピアニスト:アレッサンドロ・アルタロッカの、ラテン畑で名を馳せる超絶ドラマー:オラシオ・"エル・ネグロ"・エルナンデスを迎えたピアノ・トリオによる一編。
★陰影濃く硬質骨太でキレのある、打鍵は強固で精確なストーン・タッチのピアノが、パーカッションの響鳴に呼応するような南国舞踏的グルーヴ感の醸成と硬派筋の苦味走ったモーダル・ダイナミズム表現を掛け合わせ、更にはダウン・トゥ・アースでファンキーなブルース節やヨーロッパ抒情派タイプの耽美的哀愁フレージングも適宜滑り込ませる、トータルとしてはメロディーと力学性を上手いバランスで並立させた情緒豊かだが甘すぎない、剛柔併せ持つリリカル・アクション型の明暗メリハリ〜濃淡あるプレイを敏活に綴って奥深くも中々精悍な華を成し、バップとラテンの間を自在に往来するドラム/パーカッションやバネを利かせてウネり撥ねるベースらの活躍も的確にノリを強化しきった、全体を通じ、アフロ・キューバンな一種のグルーヴ物っぽい傾向と現代ユーロ系らしいロマネスクでエレガントなスタンス、の両極端を烈しく行きつ戻りつする快進撃が続いて、爽やかに劇的昂揚感を満喫させてくれる冴えたクリーンヒット内容。
★序盤ではラテン色濃いめなハジけたスタイルの行き方がメインとなっていて、ベース&ドラム/パーカッションの押せ押せノリノリ攻勢に煽られ触発される恰好で、主役アルタロッカ(p)の力学主義者面もしくは南国歌謡志向面も際立った半ば熱っぽい立ち回り驀進が聴かれるが、中盤に差し掛かると抒情派ハード・バップの趣や欧州流ポエティック色が強まって、アルタロッカのプレイも詩人気質や浪漫主義テイストを増した端正でセンシティヴなアプローチが基調を成すようになり、わりかししっとりとした瑞々しい感動が齎され、終盤では再びラテン路線に立ち返って賑々しく幕を閉じる、という振り幅〜落差の大きな展開進行が本作のミソであり、そうした中でアルタロッカ(p)の多面性・多角性ある硬軟兼備のアドリブ妙技がフレッシュ・ドラマティックに愉しめる寸法だ。
→ラテン筋のリズミカル&ダイナミックなハード・アタックもイイが、バラード#6でのニュアンス濃やかな憂きロマンティシズムの映し出し様や、マイルドなサンバ調#7でのテンダーでどこか儚い、かつ清々しい歓喜の歌い上げっぷり、辺りにこそ独自のヨーロピアンらしい詩的真価を感じる。
1. Arguing
2. Bye-Ya
3. Morning Hip
4. A.S.H.
5. Cool Stevie
6. Lorenaissance
7. Pra Deide
8. Witch Hunt
9. Pra Deide (theme) - bonus track
Alessandro Altarocca アレッサンドロ・アルタロッカ (piano)
Stefano Senni ステーファノ・センニ (double bass except 2, 3)
Andrea Taravelli アンドレア・タラヴェッリ (electric bass on 2, 3)
Horacio “El Negro” Hernandezオラシオ・“エル・ネグロ”・エルナンデス (drums) (percussion on 1, 2, 8)
Unknown (baby voice on 9)
イタリア-アンツィオのヴィデオ・エイコン・メディア・スタジオ録音
2025年イタリア作品
レーベル:
Alfa Music
見開き紙ジャケット仕様CD