★英国進歩派ピアノの名匠:ジョン・テイラー(1942年英国のマンチェスター生まれ、2015年フランスのアンジェで死去)の、本盤は、北欧の偉才:パレ・ダニエルソン(b)&テイラーと同じ英国人の後輩:マーティン・フランス(ds)とのトリオによる、2006年10月ドイツ-ルートヴィヒスブルクのスタジオで吹き込まれていた未発表音源の発掘・初ディスク化。
★折り目正しく繊細で端麗な、潤いや透明感に富む一方で力強く鋭角的キレを示すところもある、ニュアンスの濃やかさが光った鮮明タッチのピアノが、哀愁香るロマネスクな抒情傾向を変らず基調とし、並行してモードやバップのイディオムを活用したダイナミック・アクション風の硬質フレーズも適宜自然に盛り込んでゆく、トータルとしては独特の奥深いポエティシズムを失うことのない翳りあるビタースウィートな躍動型メロディック・プレイを歯切れよくも滑らかに紡いで、何とも瑞々しい、かつ幽玄豊かな無双の妙味を揮い、雄弁&温かに唄う肉厚ベースやシャープで敏捷な斬り込み&突き(もしくはパンチ・キック)を嚙ましてくるドラムらの助演も、スリリング&グルーヴィーにウマみある濃い口の魅力を際立たせた、全体を通じヨーロッパの耽美リリカル派ピアノ・トリオの正統らしい迫真のインタープレイ色を含んだしかし決して作法を違えぬ嫋やかな妙演が続いて、ピリッとした緊張をもって生鮮度抜群に感動させてくれる会心打内容。
★旋律や和声の美しさを何より重んじ、妖しくトグロを巻くような生々しいサスペンスも自ずと醸成される、欧州流の唯美主義・浪漫主義をメリハリも利かせて表情多彩に濃密体現したジェントル・エレガントにして強靭なダイナミズム溢れる詩的快演、が実にフレッシュにノリよく展開してゆき、ウォーム&スピリチュアルなP・ダニエルソン(b)や精緻に刃を立ててくるM・フランス(ds)(因みにダニエルソン&フランスとも2024年に惜しくも亡くなっている)らの活躍も光っているが、何はともあれ先ずテイラー(p)の、気力も充実しきった得難い熟成度と音一つ一つに宿るスター性も圧倒的な無駄なくムラもないエッセンスを凝縮したようなアドリブ至芸が、殊の外高密度に冴え渡っていて全くアザやか(青嵐の気がみなぎっている!)だ。
→テイラー独自の英国流プログレッシヴ・ジャズを経た上での(或いは60年代ポール・ブレイ・トリオの影響も微かに仄めく?)陰影豊かで彫りの深いクール・ノワールな文学的ロマンティシズム表現や、よりオーソドックスにエヴァンスをユーロ化した感じのマイルド・アクティヴ・フレージングなど、一貫して"抒情と力学"に彩られたキレのある語り口の粋があくまで巧みなげ・事も無げに軽々と奥義を極めていて見事で、まさにブルース(〜黒人音楽)から遥か離れたヨーロピアン・ポエティック・ピアノのこれぞ面目躍如といったところ。
1. Obstinate
2. Summer (Phases)
3. Ritual (Phases)
4. Oats
5. Ballada
6. Spring (Phases)
7. In February
8. Close To Mars
9. Ever After
John Taylor (piano)
Palle Danielsson (double bass)
Martin France (drums)
2006年10月ドイツ-ルートヴィヒスブルク(Ludwigsburg)のBauer Studios録音
レーベル:
CAM Jazz
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