★2012年より首都圏シーンでプロ活動を行なってきたピアニスト:小室響(1990年神奈川県横浜市生まれの仙台育ち)のセカンド・アルバムとなる本盤は、坂井紅介(b)&本田珠也(ds)とのトリオに、ゲストとして類家心平(tp)、峰厚介(ts)、井上銘(g)も加わりつつの、2025年2月18&19日横浜のジャズ・スポット・ドルフィーでの公演の模様を捉えた、2枚組の強力ライヴ編=Jazz Spot Dolphyが新たに立ち上げたDolphy Labelの第一弾作品。
★歯切れよくも重厚感をもって前のめりの勢いでもって跳躍疾駆する骨太タッチ・ピアノの熱気みなぎるアクションが、キリッとした精悍な魅力を放ち、これにシンクロしつつ結構ワイルド&ヴァイオレントに手数も多くダイナミズムを叩きつけてくる感じのアタッキングなドラムの爆撃ぶりや、強力にバネを利かせて撥ね躍る弾性に富んだベースのウネり波打ち、もピアノに挑みかかるようにスリル&グルーヴを頼もしく高めきり、またファンク・ジャム風に妖しくも少々やんちゃっぽく暗躍するコンテンポラリーなギターや、苦味走ったハードボイルド・バップの真髄を圧倒的気魄で顕示するトランペット、ミステリアスな夢幻性or思索性とこってり芳醇なコク味+勇猛なド迫力を練達の精確さ&端正さで悠々体現するテナー、らゲスト陣の活躍もそれぞれ鮮烈で濃い彩りを添えた、全体を通じ演者達のアツいパッションの高なりが生々しく伝播してきて壮快に昂揚させられる、白眉の敢闘内容。
★現代流モード系ポスト・バップの本道を突き進む、硬派で雄々しく歌心にも事欠かない躍動型人情肌活劇エンタテインメントの鑑たる真っ向勝負のストレートアヘッド熱演が、独特の逞しい分厚さを伴ってタフ&ストロングに展開してゆき、手を代え品を代え多彩にゲリラ攻勢を掛けてくる本田(ds)の只ならぬハッスルの様も随所で濃厚に妙味を際立たせる中、これに上手く触発され、煽られる恰好で、小室(p)を始めとする銘々の腰を据えて悔いなく完全燃焼するアドリブ奮戦が豊饒なる盛り上がりを呈して、理屈抜きで大いに胸躍らされる。
★小室(p)の、バラードや和みめ路線での爽やかな歌いっぷりもいいが、やはりその本領はダイナミックな立ち回り趣向における、ひたすらハイテンションでエモーショナル&エネルギッシュな灼熱の激情ほとばしる力学的アタック!にこそ遺憾なく発揮されている感があり、マッコイやハンコックらの奏法スタイルを踏まえた上でそれを独自に編み換え、硬質鋭角で敏捷な躍動の中に仄かな哀愁ロマンを香り立たせるという弾鳴キャラには一陣の青嵐の趣があって清々しい限り。
★加えて井上(g)の、ファンク、ロック、フュージョンのテイストを宿したエッジの効き具合も絶妙なシャープネス溢れる攻撃の一方、時折幾分かバップに寄った旨口アプローチも盛り込んで好もしく意表を衝いてくる、そうした「異彩放ち係」を基本的には担ったイキイキと舞い躍る様がゲスト勢の中では一つ抜きん出たインパクトを提供しており、また、類家(tp)や峰(ts)の肝っ玉にいささかもブレるところのない王道ハード・バッパーぶりも絶好調だ。
Disc1:
1. Moby-Dick (feat. May Inoue)
2. Fall (feat. Shinpei Ruike)
3. Claro De Luna
4. Cold Flower (feat. Kosuke Mine)
5. Narcissus (feat. May Inoue)
6. Monstera (feat. Kosuke Mine)
Disc2:
1. Dream Puzzle
2. Volkslied (feat. May Inoue)
3. Reflection (feat. Shinpei Ruike & Kosuke Mine)
4. Graduation (feat. May Inoue)
5. Moby-Dick (feat. Shinpei Ruike)
小室 響 Hibiki Komuro (piano)
坂井 紅介 Benisuke Sakai (bass, electric bass?)
本田 珠也 Tamaya Honda (drums)
guest musicians:
類家 心平 Shinpei Ruike (trumpet on Disc1-2, Disc2-3,5)
峰 厚介 Kosuke Mine (tenor saxophone on Disc1-4,6, Disc2-3)
井上 銘 May Inoue (electric guitar on Disc1-1,5, Disc2-2,4)
2025年2月18日,19日横浜 Jazz Spot Dolphyでのライヴ録音
レーベル:
Dolphy Label
在庫有り
国内制作2枚組CD