CATFISH RECORDS

★コルトレーンの志を受け継いだスピリチュアル・テナーの第一人者：ファラオ・サンダース(1940年米アーカンソー州リトル・ロック生まれ、2022年カリフォルニア州ロサンジェルスで死去)の、本盤は、以前Hi Hat(正規CD?)やAlternative Fox(非公式のLP?)からも出ていた、コルトレーンの死の翌年＝1968年7月、自己のカルテットを率いてフランス-アンティーブのジュアン・レ・パン・ジャズ・フェスティヴァルに出演した折のステージの模様を捉えた、元々はラジオ放送用音源のディスク化となるその新装再発版。

★骨太肉厚でドッシリ重みがあり、また独特の破裂力や起爆感も備わった剛健トーンのテナーが、スピリチュアルな半瞑想傾向と荒々しく攻め立てるアグレッシヴ・アクション性をごくナチュラルに表裏一体化させた、基本はおおらかかつまろやかに情緒を歌い上げるメロディック・プレイを雄々しくもゆったり構えた調子で紡ぎ、また時にはフリーキー・トーンで狂おしく絶叫する異形の咆哮も炸裂させて(これがピリッとした固有のスパイス感に繋がっている)、メリハリの利いたエモーショナル&エネルギッシュな力強い華を堂々飾りきり、モーダル・メディテイティヴとファンキー・ブルージーの間をイキイキと往来するピアノや、舞踏的エキゾティック・グルーヴ感と妖しい情念っぽさを生々しく醸し出すパーカッション、らの活躍もインパクト充分に彩りを加えた、トータルとしては60年代モード・ジャズの風趣〜スタイルを根幹にアメリカ黒人流フリー・ジャズの要素も適量盛り込まれた、ドラマティック&スリリングな熱い魂の音世界を昂揚と感動をもって瑞々しく愉しませる敢闘内容。

★歌心とスイング感を重視するモード系ハード・バップのヴァリエーションと云えそうな側面と、突発性や破壊力全開でワイルドに暴れ倒すフリー派特有のアナーキー&ヴァイオレントさ、がバランスよく使い分けられた(基盤はあくまで前者にある)リリカル・アクション・タイプの大河ストーリー的熱演が、雄渾のスケールと開放感のもとに展開してゆき、サンダース(ts)以下銘々の一丸となって腰を据えて完全燃焼する迷いのない奮戦が、誠に生々しい盛り上がりを呈して壮快だ。

★サンダース(ts)の、身をよじり全力を絞り切るようなハイテンションすぎるフリーキーな叫びも圧倒的ではあるが、より平常心を保って(?)美メロを唄う辺りの結構オーソドックスなブルースマンぶり・バッパーぶり・スピリチュアル歌謡者ぶりにこそ、清新でちょっとナイーヴな唯一無二の妙味があり、これを追うロニー・リストン・スミス(p)のスピリチュアリティとジェントル・エレガンス混合のハッスルの様や、シローネ(b)の重心を落として地を這いつつ鋭敏に撥ねるドライヴ感満点のハジけっぷり、も各々ノリにノッていたりと、旨味溢れるハイライト・シーンは実に豊富。

Medley:
Improvisation;
Venus;
The Creator Has A Master Plan;
Stage Announcements;
Applause

Pharoah Sanders (tenor saxophone, percussion)
Lonnie Liston Smith (piano)
Norman 'Sirone' Jones (bass)
Majeed Shabazz (drums, probably percussion)
or maybe someone else (percussion)

1968年7月21日フランス-アンティーブで催されたJuan-Les-Pins Jazz Festivalでのライヴ録音

レーベル：Offbeat Records

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