★過去のOrigin諸作が好評だった、ニューヨークを拠点に活動するアメリカのヴェテラン敏腕ドラマー:マイケル・ウォルドロップ(1961年米フロリダ州ペンサコーラ生まれ)の、今回は、予てより親交のあったセルビアのピアニスト:ヴァジル・ハジマノフ&マケドニアのベーシスト:マーティン・ジャコノフスキとの国際色豊かなピアノ・トリオに、パーカッション陣も加わってくるカルテットやクインテット(但しパーカッションは別録りのようである)(パーカッション抜きのピアノ・トリオ単独演奏も2曲)による一編。
★ドラムとパーカッションが上手くシンクロしてリズミカル&半ダンサブルなグルーヴ感を中々カラフルに醸成する中、歯切れのいい骨太な鋭角さの内側から潤いを滲ませるピアノの哀愁漂うスマート・プレイが、ダイナミズムと抒情性に満ちたロマネスク・グルーヴィーな確固たる力強い魅力を放ち、肉厚にウネるベースや踊るように跳ねるドラム&パーカッションらの鳴動も表情豊かにノリとキレを高めきった、全編アジなメランコリー溢れるリリカル・アクション型ピアノ・トリオ+αの典型たるタフ&ジェントルな快演が連続して、スカッと胸躍らせてくれる清々しいクリーンヒット内容。
★親しみやすい歌謡的メロディーの美と適度に南国情緒を含んだ律動的ノリのよさを変らず拠り所とし、伝統的ブルース・フィーリングやバップ精神、モーダルな熱情性、も過不足なく自ずと備わった、硬派でストロングな雄々しさ・強堅さと濃やかなポエティシズムが表裏を成す"力学詩人の邁進"風の行き方が敏活に展開され、パーカッションの導入でラテン寄りな一種の「グルーヴ物」的テイストも齎されるが、基調としてはあくまでモード系ポスト・バップ・タイプの「リアル・ジャズ」らしさが頑として打ち出され押し出されている、という、歯応え満点の道程の中で、後方からグループのトータル・サウンドを強力に、シャープにナヴィゲートするウォルドロップ(ds)の指揮監督手腕も頼もしく光りつつ、前面ではハジマノフ(p)を花形主役とするソロ・コーナーが鮮度抜群の隆盛ぶりを見せて壮快だ。
★ハジマノフ(p)の、H・ハンコックやC・コリア辺りの成果を踏まえた、ダイナミックにしてジェントルマンの気品や香り高さを決して失わない、洗練とパワフルネスがごく自然に並立した躍動型リリシズム表現がスッキリ爽やかな妙味を揮っており、加えて、エキゾティックなパーカッション音響が飛び交う中での卓越したリズム感に裏打ちされた流麗なビートへの乗り具合や、アーシー&ファンキーな吟醸的ブルース・センスの活用、マッコイとまでは行かぬもモーダル・パッショネート&エネルギッシュなアツいアグレッシヴ・フレーズの繰り出しなど、さりげなく幅のある懐の広い、そして何よりあくまで"ストレートアヘッド"なメインストリーマー然とした語り口の粋が、揺るぎなくしっかりテイスティー・グルーヴィーに冴えていて見事。
1. Native Son 6:34
2. Vasconcelos 7:57
3. Pythia: The Speaking Water 6:17
4. El Vino 6:27 (p-b-ds trio)
5. Belgrade (Београд) 6:02
6. Bitter End 4:43
7. Still Life 7:38
8. The Wrong Blues 6:35 (p-b-ds trio)
Vasil Hadžimanov (piano)
Martin Gjakonovski (bass possibly except 5)
Michael Waldrop (drums)
*guests:
Brad Dutz (percussion on 1-3,5-7)
Jose Rossy (percussion on 1-3)
Chris Symer (bass on 5)
2024年8月14日-16日セルビア-パンチェヴォ(Pančevo)のFuture Nature Sound録音
(但しpercussionは米テキサス州デントンのBuffalo Sound録音)
2025年作品
レーベル:
Origin
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輸入盤・三つ折り紙ジャケット仕様CD
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