★ピアノの栗林すみれ(1986年生まれ)、アコースティック・ギターの藤本一馬(1979年生まれ、兵庫県宝塚市出身)、ベースの須川崇志(1982年群馬県伊勢崎市・旧境町生まれ)、という個性派の実力者3人がガッチリ組み合ったトリオによる、ファンタジーとエレガンスに彩られた詩情豊かでムーディーな、さりげなく高度洗練性を包含する一作。曲は栗林と藤本が各々持ち寄ったオリジナル群。
★透明感と骨太な硬質性を併せ持ったピアノがセンシティヴ&半メディテイティヴに祈るようでもある折り目正しい美フレーズを紡いで余情に富んだ妙味を揮い、きめ細かで清涼感と潤いに溢れたアコースティック・ギターの憂愁スケッチ風の調べもその音響の端麗さと相まって機微あるメロウ・ムーディーな魅力を発散、これらを豊かな包容力でもって背後から温かく盛り立てつつ歌心満点に自己主張もするベースのウネり鳴動もコク深く際立った、全体を通じ三人の驚異的とも思える細密に息の合ったアンサンブルの粋とそれぞれにユニークなソロ並びにインタープレイの瑞々しさとで心地よく爽やかに感動させる、何げに高密度な巧演内容。
★インティメイトな和みのムードが一貫する反面、トライアングルな相互触発の生々しいスリルにも事欠かぬ、大凡のところはハートウォーミング&リラクシングな抒情指向のメロディック奏演がゆとりと節度をもって悠然かつ粛然と展開してゆき、温もりとドライヴ感の醸成に頼もしいところを見せる須川(b)のグルーヴィー妙技も絶えず芳醇なオーラを放つ中で、栗林(p)と藤本(ac-g)のコンテンポラリー和ジャズの奥深い"道"を極めんとするアドリブ奮戦があくまで穏やかに、そして生鮮度抜群にアジな冴えを、キレを見せて素晴らしい。
★栗林(p)の、落ち着いた優しさ=テンダネスを絶やすことなく牧歌的でちょっと瞑想的なところもある「美メロの泉」たるマイルド・ロマンティック節を実に潤沢に歌い続けるその、表向きはアップトゥデイトな今日流儀ながら内側に隠し味っぽくハード・バップの匂い〜粋渋感の仄めくそうした弾鳴が、一貫して臆せぬマイペースさで中々テイスティーな確たる本領を示していて卓抜(3人のメンバー中最も堂々と構えている印象がある)で、一方藤本(ac-g)の、ニュアンスの濃やかさが命の吟遊詩人的フォーク・ジャズ、時にはアンビエント系っぽくも聞こえるまろやかタイプのデリケート・プレイが、所謂バップからは遠く離れた個性ということで栗林とはコントラスト満点に清涼剤効果を成していてまた好インパクト。
★彼らを縦横無尽にバックアップしながらその根底にはバップ&ブルースの旨味を多分に感じさせる須川(b)の立ち働きも高ポイント。
1. Tides of Blue
2. The Ways to Come Back Home Again
3. Let Me...
4. Dew
5. Here My Home
6. Pathway to Light
7. Road
栗林 すみれ Sumire Kuribayashi (piano)
藤本 一馬 Kazuma Fujimoto (acoustic guitar)
須川 崇志 Takashi Sugawa (bass)
2024年8月22日NK SOUND TOKYO(東京都新宿区四谷4丁目)録音
2025年日本作品
レーベル:
Days of Delight
御予約商品
2025年2月26日発売予定 受注締切:2025年2月5日
国内制作CD