★サニー・マレイやアーチー・シェップらと親交し、ブラック・スピリチュアル・ジャズやフリー・ジャズのフィールドで多大な成果を残した、進取性に富むアヴァンギャルド・マルチリード(本作ではアルトサックスをメインとする)の鬼才:バイアード・ランカスター(1942年米ペンシルヴェニア州フィラデルフィア生まれ、2012年ペンシルヴェニア州Wyndmoorで死去)の、本盤は、ベース&ドラムとのトリオ編成による、1973年11月フランスで吹き込まれジェフ・ギルソンのレーベル:Palm Recordsから翌年リリースされた傑作(PALM 8)の初CD化。
★烈しくスピーディーに転げ回るようなドラムの轟鳴や弾性をもって鋭く弦をハジくが如きベースのウネり、に導かれて、絞りの利いたシャープ&ソリッドな旨味あるトーンのアルトが、圧倒的ダイナミズムをもって激烈にアタックするスピリチュアル・アクション咆哮をひたすらタフに、屈強に繰り出し、またフリーキー・トーンによるアブストラクトな破壊力爆発の絶叫ワザも適所適量織り交ぜて上手くアクセント〜メリハリをつける、という、トータルとしてはのっぴきならぬ切迫感を伴った"魂の慟哭"風のブラック・ソウルフル・インプロヴィゼーションをこれでもかと炸裂させまくって、雄渾にして剛健なる魅力を揮いきった、スカッと胸のすく壮快なエキサイティング内容。
★スピリチュアル系フリー・ジャズの正統らしい、過激な中にも歌心やブルース・フィーリングを多分に感じさせる、至って分かりやすいスウィンギン・グルーヴィーな漆黒の情魂ロマン世界が、立ち回りの苛烈さを伴いつつ切々と活写されてゆき、ピアノレスならではの乾いたゴツゴツ感も心地よく、マッコール(ds)の小回りを効かせた精細な速射砲撃やマルク(b)の撥ね躍るドライヴぶり、もノリとスリルを的確に高める中で、アルトをメインに吹くランカスターの、腰を据えて悔いなく完全燃焼する逞しく猛々しき即興奮戦が気魄満点に冴え渡って大いに昂揚させられる。
→20分を越える大熱演の#1では明快な歌性重視型からメディテイティヴ調、次第にエキサイトしてきてヴァイオレントなパワー・ミュージック然と暴れ倒したりなどのドラマティックな力投を見せて圧倒し、フルートを吹く#2では独特の瞑想感と黒人ならではのアーシーさの掛け合わされたリリカル・プレイに無双の妙味を発揮、ソロ・テナー・インプロの#3ではその狂おしい叫び吠えっぷりで聴く者を驚愕させ、終盤の#4と#5では一転してR&Bファンク調の軽妙趣向で粋に和ませもする、というそうした一貫して「ブラック・スピリチュアリティの塊」たる何げに変幻自在・八面六臂の活躍は絶好調の極み。見事。
1. Mc Call All
2. Flore
3. John III (solo ts)
4. Us
5. Just-Test
Byard Lancaster (alto saxophone on 1, 4, 5) (tenor saxophone on 3) (flute on 2)
Sylvain Marc (bass except 3)
Steve McCall (drums except 3)
1973年11月24日Studio Palm(フランス)録音
レーベル:
SouffleContinu Records
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