CATFISH RECORDS

★過去にもこのApril Recordsに配信オンリーのものも含めて幾つか吹き込みを残してきた、コペンハーゲンを拠点に活躍する30代(前半?)テナーサックス奏者：アンドレアス・トフテマルクの、リアルなパッケージ＝アルバムとしてはこれが2作目となる、レギュラーのカルテットに英国の人気トランぺッター：ジェラード・プレゼンサーを加えたクインテット基本(プレゼンサーは全8曲中6曲に参加)での一編；自作曲集。

★ふくよかな丸みと鋭い締まりが一体化し、落ち着いた端正な趣を絶やさない、潤い&旨味に富む半スモーキー・トーンのテナーが、穏やかな息遣いを保って滑らかに流線形を描く寛ぎ傾向と、パンチを利かせて敏捷にアタックするハード・ドライヴィングな咆哮型、とを織り混ぜた(基本は前者)ワンポイントのゆとりあるハード・バップ・テナーの本道ド真ん中たる粋渋プレイを伸び伸びと、しかも簡潔に綴って中々余情豊かな妙味を揮い、歯切れよくカッチリと抑制力充分の硬質弾奏をぶつけてくるピアノや、余裕と貫禄たっぷりに悠然と吟醸節を唄うトランペット、らの活躍も香味効果抜群に華々しく彩りを添えた、一貫して現代流モダン・ジャズの正統然とした直球驀進が続いて、壮快に、かつ豊饒にそのコク深い世界にハマらせてくれる充実内容。

★ウォーム&インティメイトな和み気分が変らず底流し、歌心とスイング感を何より大切にした、ダイナミックにしてリラクシングな抒情派ハード・バップ演奏が敏活滑脱に展開され、鋭くソリッドに突きを入れるブリックマン(p)以下リズム隊の、結構ゲリラ的遊撃力にも長じた機略縦横のアタッキングなサポートに上手くノセられ触発される恰好で、トフテマルク(ts)やプレゼンサー(tp)の腰の据わった揺るぎなげなアドリブ奮戦が、何とも芳醇なる、それでいてサラリとしてもいる盛り上がりを見せてゴキゲンだ。

★トフテマルク(ts)の、独特の焦げたような、或いは煤けたような翳とシブさをその吹鳴に顕し、レスター系とグリフィン系の掛け合わせ的スタイルを基調として時にはロリンズに接近するところもある、純正ハード・バップ・タイプのマイルド・レイジー・ブロウを流麗に紡ぐが、よくある"現代版寛ぎテナー"の定番パターンとは一線を画す確固たる燻し銀の個性がしっかり打ち樹てられており、加えて決して吹きすぎずややあっさりと引き揚げてゆく感じの質素で潔く含蓄あるその佇まいにも得難い魅力がある。

★かたやプレゼンサー(tp)の、"ゲスト・ソロイスト"のポストをとことん楽しんでいる風な適度にピリッとした吟醸感溢れる、そして構成力にも殊の外長けた妙技もこれまた秀逸。モーダル&アーシーな鋭角的躍動ワザで迫るブリックマン(p)の助演も、主役トフテマルクを凡百の所謂寛ぎテナーとは違った印象に聞こえさせるのに一役買っていて好インパクト。

1. La Gare (6:15)
2. Waltz For Alex (6:05)
3. Peers (5:35)
4. Dagmar (4:34)
5. November In Paris (6:48)
6. Song For J (2:52)
7. Hopefully (5:02)
8. Chimney Lullaby (5:23)
＊all compositions by Andreas Toftemark　
　published by April Publishing ApS

Andreas Toftemark (tenor saxophone)
Calle Brickman (piano)
Matthias Petri (bass)
Andreas Svendsen (drums)

plus special guest：
Gerard Presencer (trumpet except 3, 4)

2023年1月16-17日デンマーク-コペンハーゲンのThe Village Recording録音

レーベル：April Records

在庫有り
CD