CATFISH RECORDS

★過去、ノルウェーやスウェーデンの主流派系・フリー系問わずアンサンブル物に数多く名を連ねてきたノルウェーのキャリア豊富な個性派トロンボーン奏者：オイヴィン・ブレッケ(1969年ノルウェーのバールム生まれ)の、本盤は、テナーサックス、ヴィオラ、ギター、ベース、ドラムとのセクステットによる自作曲集。

★おぼろに唸るような煤け霞んだスモーキー・トーンのトロンボーンがシブ味たっぷりのブルージーな哀愁節を歌い上げ、かと思えば一転して音色をシャープに鮮明化してハードなアクション攻勢も見せる、という振り幅に富んだ硬軟兼備のドラマティック・プレイを綴ってコクのあるテイスティーな魅力を放ち、奔放苛烈に渦巻きアタックをカマしてくるテナーや、ある時は潤いと寛ぎに満ちたマイルド技を、またある時はダーク&ダーティーな不敵さ漲った大暴れ弾奏をも鋭く繰り出すギター、チェンバー的荘厳壮麗さと怪しい異形性を自在に交錯させるヴィオラ、らの活躍も色彩感と奇襲力抜群に妙味を際立たせた、全体を通じ中々予断を許さないサスペンス活劇風の敢闘が続いて、フレッシュ・スリリングに昂揚させてくれる濃密内容。

★現代流モード系ハード・バップの正統らしいスウィンギンでメロディアスな娯楽路線を先ずは根幹としているものの、随所でそれを逸脱しかつてのドルフィー或いは近年のMMP(Moserobie)諸作とかにも通じる適度なアブストラクトさを含んだトンガりめのニュー・ジャズ(但しフリーではない)もしくは硬派ファンク、的な行き方にも多々推移する、トータルとしてはわりかしラディカルなイメージの進歩的立ち回り熱演が張り詰めた息遣いで精悍に展開され、そうした幾分アナーキーっぽくもある道程の中で寧ろメンバー中最もカタギのハード・バッパー的芸風を強く打ち出した感のあるブレッケ(tb)の奮戦が、結構芳醇に冴え渡っていて好印象。

→半抽象の領域へ踏み込むところも一部あるものの、基本的にはJ.J.ジョンソンやグレシャン・モンカー辺りに底通するそのウォームでしっかり旨口なアーシー・バピッシュ吹奏がこってり美味しく堂々独壇場を飾っており卓抜で、一方、ショーターやリーブマンに迫るようなアグレッシヴ咆哮で大いに気を吐くマティセン(ts,ss)や、全体の掻き回し役的なヤング(g)のやんちゃさハジける暗躍ぶり、グループ・サウンドを異界へと引っ張り込むスカスリーエン(vla)のキレのある蠢き、などもそれぞれに突出した強烈な個性を遺憾なく揮いきっていて全く鮮やか。

1. Hymn For The '20s (Øyvind Brække)
2. Point Of View (Øyvind Brække)
3. The Gathering (Øyvind Brække)
4. Way Out Loud (Øyvind Brække)
5. Plexi Encounters (Øyvind Brække)
6. Femtito (Øyvind Brække)

Øyvind Brække オイヴィン・ブレッケ (trombone)
Jørgen Mathisen ヨルゲン・マティセン (tenor saxophone except 6) (soprano saxophone on 6)
Bergmund Waal Skaslien ベルグムン・ヴォール・スカスリーエン (viola)
Jacob Young ジェイコブ・ヤング (guitar)
Bárður Reinert Poulsen バウルズル・レイネルト・ポウルセン (bass)
Erik Nylander エーリク・ニューランデル (drums, percussion)

2023年6月22日Athletic Sound(ノルウェー?)録音

レーベル：Oslo Session Recordings

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見開き紙ジャケット仕様CD