CATFISH RECORDS

★先年の第一作が好評だった、ベースのパトリス・カラティーニ(1946〜)をリーダーとし、大御所：アラン・ジャン＝マリー(p)(1945〜)のフィーチュアされた、そして各種パーカッション&ドラムの達人：ロジェ・ラスペイユ(1953〜)も大活躍する、というヴェテラン名手達が顔を揃えた、カリビアンやラテンの要素を豊富に取り入れてのジャズ演奏を旨とするフランスの企画ピアノ・トリオ＝Tropical Jazz Trioのセカンド・アルバムが登場。

★軽快に舞い踊るパーカッションや重厚にウネりドライヴするベースに導かれて、硬質堅牢で骨太く陰影濃いストーン・タッチのピアノが、ハード・バピッシュな正統筋のアクション・グルーヴ傾向に南国的歌謡性やダンサブル感を適量加えたリズミカル・メロディック・プレイを歯切れよく綴って、爽やかでいてコクのある華を成し、律動的な拍子を打つ中に絶えず雄弁な抒情性を漂わすパーカッション、大きく波打ちながら朗々と唄いに唄うベース、らの活躍もばっちりテイスティーに魅力を際立たせた、全体を通じあくまで硬派ジャズならではの強固な鋭角的ダイナミズムを損うことなくラテン・フレイヴァーが程好く自然に盛り込まれたグルーヴィー世界、を歯応え充分に愉しませる"張り(緊張感)"と"キレ"ある敢闘内容。

★歌心とノリのよさを何より重んじる、明るく晴れやかだが決して甘すぎない、実質主役を担うジャン=マリー(p)のわりかしソリッド&スクエアーな苦味走った立ち回り攻勢が効いて鋭い引き締まり感の絶えぬ剛健めのグルーヴ熱演、が中々精悍軒昂そうに展開してゆき、トータル・サウンドの要となるトロピカルな舞踏的ノリの醸成を確固と務めるラスペイユ(per)や、肉太トーンでウォーム&ドライヴィングに美メロを繰り出すカラティーニ(b)、の各々働きもピタリとツボにハマる中で、ジャン=マリー(p)の、ハード・バップ・ピアニストとしていささかもスタンスにブレるところのない、独特の翳のあるビタースウィートなアドリブ妙技が、さすがの熟練を痛感させる豊饒なる冴え渡り様を泰然と示していて全く素晴らしい。

→「トロピカル」と銘打ってはいるもののジャン=マリーのピアノは概ね7割か8割くらいまではバップ&ブルース(+適度にモード)の本道を行く結構ハードボイルドで渋〜い趣に溢れており、その、重みとシャープネスをもって燻し銀的な殺陣風のダイナミック・フレーズを紡ぐ雄姿はまさしくハード・バッパーそのもの!、がそれだけにとどまらず南国系の歌謡フィーリングや軽やかで自在な卓越したリズム感(或いは舞踊センスか)をチョチョイのチョイと揮って、ジャン=マリー流のラテン・バップorカリビアン・バップ風の世界を揺るぎなく確立させている、辺りの巧まざるバランス感覚のあり様がやはりこの文句なしの圧勝に繋がるポイントと云える。

01. A Casa De La Socera (3:03)
02. Dindé (4:21)
03. Consolation (3:45)
04. Mambo Influenciado (2:17)
05. 22 Mézouk (5:01)
06. Miss Jo (4:06)
07. Con Alma (3:56)
08. Papa Doble (3:46)
09. When Love Is New (4:46)
10. Nica's Dream (4:18)
11. Dry Bones In The Valley (3:27)
12. Mambo Inn (2:45)
13. Sé Pou Vélo (4:36)
14. The Feast (based on Blues On The Corner - McCoy Tyner) (2:44)

Alain Jean-Marie (piano)
Patrice Caratini (bass)
Roger Raspail (ka, djembe, conga, percussion) (drums on 09)
Maryll Abbas (accordion on 04, 13) (possibly? vocal on 06)
male voices on 13(掛け声?), 14(ナレーション的語り?)

2023年フランス作品

レーベル：French Paradox Antipodes Music

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デジパック仕様CD