CATFISH RECORDS

★今やフランス・ジャズ界を代表する大物となったアルトサックスの逸材：ピエリック・ペドロン(1969年フランスのサン=ブリュー生まれ)と、キューバ出身で国際的に多忙な活躍を続ける人気ピアニスト：ゴンサロ・ルバルカバ(1963年キューバのハバナ生まれ)、というキャリア豊富な名手二人のこれが初共演となる差し向かいのデュオ・アルバム。

★キュッと引き締まった感触を呈しつつ爽やかな涼気を放つアルトサックスの滑脱で落ち着きある吹鳴が清々しい魅力を発揮し、キレのいい鋭角性や硬質堅牢さを備えた骨太ストーン・タッチ・ピアノの中々豪快なダイナミック・アクション技も、陰影濃くビタースウィートめの雄々しき妙味を振るった、全体を通じ深々としたリラクゼーションと圧倒的な迫真スリルとが表裏を成した劇的流れをフレッシュ・グルーヴィーに愉しませる敢闘内容。

★インティメイトな和気や憩いのムードに包まれた優しい寛ぎバラードがあったかと思えば、一転してスピード感満点の全力疾走態勢で超絶技巧の至芸がぶつかり合う大立ち回り熱演もあったりと、起伏メリハリは充分、そして一貫して歌心を大切にした人情肌娯楽活劇路線の典型たるリリカル・バピッシュ奏演、が歯切れよく輪郭もクッキリ鮮明に展開してゆき、二人の息もピッタリなコンビネーション〜緊密アンサンブルの粋にも大いに魅了される濃度の高い道程の中で、銘々の、腰を据えて伸びやかに本領を揮うと同時に、一定の抑制力・制御力をもって適宜簡潔な文脈にまとめ上げる、自由闊達そうでいて構成的ストーリーテラー気質でもあるアドリブ奮戦が、実にアザやかに冴え渡って素晴らしい。

★ペドロン(as)の、パーカーの流れを汲んだバップ・アルトの正統スタイルを出発点に、ファンキーやモードの要素も按配よく加味し、ひたすら明るく晴れやかに朗々と歌うマイルド&ハートフルな語り口が、吹き抜ける青嵐の気を湛えつつどこまでも涼しげに、清やかに華やいだ映えを、スター性をイキイキ揮っていて傑出しており(殊にバラードでのひんやりクールでスマート&スムースなまろやか波乗り節の心地よさは格別)、かたやルバルカバ(p)の、大方の花形役はペドロンに譲り、堅実で確固としたグルーヴ醸成に努める一方、決して甘くないピリッとスパイスの効いたハードなダークネス漂う岩石転がし風のダイナミズム攻勢をここぞのタイミングで炸裂させ、苦味走った硬派バッパーの矜持を堂々と顕示してのける、辺りの1ミリもブレていない屈強タフガイ・キャラのあり様も、ペドロンとは好対照に見事拮抗していてまたナイス。

1. The Song Is You 8:10
2. Ezz-Thetic 6:23
3. Lawns 5:12
4. Si Tu Vois Ma Mère 5:58
5. Dreamsville 6:37
6. Five Will Get You Ten 3:42
7. Folks Who Live On The Hill 8:22
8. Pretty Girl 4:11

Pierrick Pédron (alto saxophone)
Gonzalo Rubalcaba (piano)

2023年フランス作品

レーベル：Gazebo

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デジパック仕様CD