CATFISH RECORDS

★ジミー・レイニーの流れを汲んだクールで理知的なスタイルを出発点に、フリー寄りの半アブストラクトなアプローチまで、時代によって徐々にその芸風を変化させていったヨーロッパ・モダン・ジャズ・ギターの最高実力者の一人：ルネ・トーマ(1927年ベルギーのリエージュ生まれ、1975年スペインのサンタンデールで死去)の、本盤は、長年の盟友であるジャック・ペルツェル(as,fl,ss)との双頭コンボ＝Thomas-Pelzer Limited(レイン・デ・グラーフ-p、ハン・ベニンク-dsら参加)による1974年2月録音の激レア・アルバム(ベルギーVogel原盤)、の世界初CD化(限定生産)。

★シャープなキレや張りとソフトな丸みが渾然一体化したようであり、また清澄さと濁りが表裏を成した感じもある、陰影豊かで味わい深いトーンのギターが、幾分荒削りで豪快な殺陣風のバップ・アクションをキメたり、コードワークを活かしたメロウ・テンダーな哀愁節を歌ったり、クーリッシュ&インテリジェントな思索的文脈を創出したり、などの中々表情多彩で実に鋭敏そしてちょっと妖しく翳ったイメージの半劇的プレイを綴って、苦味走った凛々しく渋い華を成し、エモーショナルに吠えるアルトや涼やかかつメディテイティヴに囀るフルート、メランコリック&雄弁に鳴くソプラノ、ストレートアヘッド街道を驀進する硬質ピアノ、らの活躍も各々鮮烈に魅力を際立たせた、全体を通じごく正攻法のハード・バピッシュ熱演が貫かれて、旨味も満点に昂揚させてくれる会心打内容。

★ハードボイルドで雄壮な硬派筋のキレ味鋭いアクション趣向を基調とし、歌心や詩情、ブルース由来の吟醸感も過不足なくナチュラルに備わった、70年代ヨーロッパ・ジャズならではの甘くないソリッドなリリシズムの底流する精悍演奏が毅然げに展開してゆき、ベニンク(ds)&ハヴァーホック(b)のシャープネスみなぎったビシバシ斬り込んでくる感じの遊撃アタック!に上手く触発されながら、トーマ(g)やペルツェル(as他)、デ・グラーフ(p)のエッセンスをギュギュッと濃縮したが如き完全燃焼の即興敢闘が、圧倒的気魄をもって極めて高密度に見せ場を形作っており卓抜だ。

★トーマ(g)の、クリスチャン〜ケッセル系のバップ・スタイルを更に強硬化・堅牢化したようであり、ファーロウやバレルの奏法をより細く尖らせてレイニーやホール(或いはB・バウアー辺りとか?)に接近させたようでもある、一貫して好もしい暗さとハードネスに彩られたその、鬼気とも云うべき凄味ならびに深い旨味をほとばしらせる、鮮度抜群な迫真弾鳴のあり様が先ずは何より他のサイド陣を霞ませるほどの濃厚オーラを放っていてとりわけ傑出しており、一方、熱気溢れるパッショネートなアプローチが基本身上のペルツェル(as他)の舞い泳ぎっぷりや、堅実でスクエアーな抑えの態勢の中に結構ヤバい起爆感を孕んだデ・グラーフ(p)の全力疾駆、といった辺りも個性十二分のアジな健闘を見せていて好インパクト。

1. Lolita ロリータ 7:02
2. T P L TPL 8:45
3. Star Eyes スター・アイズ 4:28
4. Jesus Think Of Me ジーザス・シンク・オブ・ミー 6:20 (fl-g-b-ds quartet)
5. Juliette ジュリエット 5:25 (ss-g-b trio)
6. All Or Nothing At All オール・オア・ナッシング・アット・オール 8:05

Ren? Thomas ルネ・トーマ (guitar)
Jacques Pelzer ジャック・ペルツァー (alto saxophone on 1, 3, 6) (flute on 2, 4) (soprano saxophone on 5)
Rein De Graaff レイン・デ・グラーフ (piano except 4, 5)
Henk Haverhoek ヘンク・ハヴァーホック (bass)
Jean Linzman ジャン・リンツマン (electric bass, guitar on 4)
Han Bennink ハン・ベニンク (drums except 5)

1974年2月26日Schelle(ベルギー?)のReward Studios録音
＊原盤：Vogel 003-S
解説:石沢功治

レーベル：Solid ウルトラ・ヴァイヴ (Ultra-Vybe) Timeless (ベルギーのVogel原盤)

★数量限定生産盤
★世界初CD化
★日本語解説付
★リマスタリング

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