CATFISH RECORDS

★英国のマンチェスターを拠点に活動しているオーストラリア生まれの女性歌手：ニシュラ・スミスの、トランペット、ピアノ、ベース、ドラムとのレギュラー・クインテットを率いての、自作曲をメインとした初リーダー・アルバム。

★まろやかな甘みや潤いとシャープな張りやキレを併せ持った、線は細め、トーンは高めのちょっぴりハスキーなキュート・ヴォイスによる、歌詞とメロディーを大切にしながら情感濃やかにしっとりと囁きかけてくるような、デリカシーやニュアンスに富んだ自然体調子の、それでいて粋渋な吟醸的ブルース・フィーリングも巧まずして潤沢に備えるリリカル演唱が、この上なく清楚可憐でどこか儚げな華を優しくも瑞々しくメロウ・ムーディーに成し、バック陣の、硬派正統筋のハード・バップらしさとヨーロッパ・ジャズならではの耽美性やクールネスを的確に使い分け、また融合した中々芸の細かいサポートもテイスティー・グルーヴィーかつ奥深い魅力を際立たせた、全編凛とした冷涼な空気感とスウィート・テンダーな和みムードの混在する音空間に心地よく浸らせてくれて、ホッと一息つける充実の好演内容。

★インティメイトな寛ぎを変らず底流させ、センスのいい瀟洒味やウィットっぽさが全体を貫く、ラウンジ小唄セッションの典型のようでありつつ、オリジナル曲の今流にアップデートされた曲想やインストに顕れる独特のセンシビリティやクールイズムが奏効して現代英国ジャズ特有のハイブロウさも自ずと齎された、バランス絶妙の実に小気味よく洒落た軽やかな道程が続き、スミス(vo)の、一語一句・一声一声に真心こめた誠実で丁寧で愛らしい、落ち着きあるリラクシングな歌い回しが何とも清新に、爽やかに美しく座を彩って最高に素敵だ。

→繊細でマイルドな涼風あるいは清流を思わせる声質を活かしたウィスパリング調の端正なガーリッシュ(=乙女チック)・スタイルを基調とし、耳元にそっと語りかけるが如き鮮度も抜群かつ切実さある柔和節を丹念に綴って、すっかり夢見心地で陶酔させてくれる一方、テンポのあるスウィンギンな局面においては可愛らしさの内側から結構鉄火肌のブルージー・グルーヴィーさをチラつかせたりもする、その、真摯な丹誠に溢れ、確固たる精妙なテクニックをもさりげなく有した歌声は、どことなく(いい意味で)刹那的にも感じられ蠱惑性満点、説得力も大いにズバ抜けている。透明感と清涼味に富み深遠典雅な情趣を醸し出すR・ジョーンズ(p)や、イキでイナセでシブいバッパーぶりを悠々と揮うA・ウッド(tp,flh)、らの活躍も◎。これは思いがけずハマります。

01. Twilight (vo & p duo)
02. Friends With Monsters
03. Julian
04. Midnight (vo & b duo)
05. Home
06. Starlight
07. 3 AM (vo & ds duo)
08. It Might As Well Be Spring (vo-p-b-ds)
09. I Want To Make You Happy
10. Dawn (vo & tp duo)
11. Up

Nishla Smith (vocal)
Aaron Wood (trumpet,flugelhorn except 01, 04, 07, 08)
Richard Jones (piano except 04, 07, 10)
Joshua Cavanagh-Brierley (bass except 01, 07, 10)
Johnny Hunter (drums,percussion except 01, 04, 10)

英国、ウェールズのGiant Wafer Studios録音
2021年英国作品

レーベル：Whirlwind Recordings

在庫有り
見開き紙ジャケット仕様CD