CATFISH RECORDS

★ドラムのアンドレ・チェッカレッリ(1946年フランスのニース生まれ)、ピアノのピエール=アラン・グアルシュ(1973年フランスのトゥーロン生まれ)、ベースのディエゴ・アンベール(1966年フランスのパリ生まれ)、という過去にも度々組んできた現代フランス・ジャズ・シーンを代表する個性派名手3人の連名ピアノ・トリオによる、ガーシュウィンの「ポーギーとベス」集。

★押し寄せる怒涛か荒れ狂う迅雷・稲妻の如くシャープ&スピーディーかつヘヴィー・ストロングに大攻勢を掛けてきたかと思えば、精確端正にキッチリとリズムを刻む安定律動ぶりもヌカりなく見せたりと、局面に応じて変幻自在に機動し遊撃してくるドラムの、実に表情多彩で振り幅大きくもツボを心得たドラマティックな躍動、その生命感溢れる生々しい動静が眩いばかりの大黒柱オーラ、黒幕オーラを放ち続けて思わず耳も釘付けになる中、固く骨太く重心のしっかりしたストーン・タッチのピアノが、ある時は妖しいスピリチュアリティを漂わせつつの浮遊感も仄めくモーダル・ミステリアス節をきめ細かに、ある時はストレート・スウィンギンにハード・バップの王道を突き進む硬派で渋い殺陣ワザを歯切れよく鋭角に、またある時は現代ヨーロピアン耽美派タイプのしっとりとした詩的ロマンティシズム表現をメロウ・テンダーに、更には原曲の持つブルースの旨味を最大限に引き出したアーシーなアプローチをイナセげに、次々とフレキシブルかつ明晰明瞭に繰り出して、中々毅然としたリリカル&テイスティー・グルーヴィーな華を揺るぎなく成し、
また一方、ダイナミックなドライヴ感を満載しながら随所に浮かび上がってはハートウォーミングによく歌う懐広そうなソロも嬉々としてキメるベースの働きも、コク旨効果十二分に魅力を際立たせた、全編フレッシュな驚きと安心できる深い感動そしてノリのよさ一杯の道程展開で、美味しく清々しく昂揚させてくれる会心打内容。

★1曲1曲は概ね比較的簡潔にまとめられ、いずれのトラックにもアレンジや構成面に充分練られた独自の意匠がバッチリ凝らされた、原曲のイメージから適度に離れて欧州流サスペンス浪漫路線に味つけされたものとかもあることはあるが、しかしあくまでストレートアヘッドなモード系ハード・バップの正統スタイルで分かりやすく親しみやすく演じる行き方、が確固と主軸・根幹を成しており、時折神秘夢幻のロマネスク世界やダークな空間へと聴く者を誘い込む変化球アクセント的転回も現れるものの、大方は結構メインストリームなバピッシュ指向のアプローチでイキにノリよく愉しませてくれるという寸法だ。一座の花形を担うグアルシュ(p)の、ユーロ系ならではの仄暗くちょっとメディテーショナルな詩人ぶりに新味を発揮するところもあるが、その本性はわりかし硬派で粋渋なメインストリーマーではないかと思わせる、即ち、ハンコックやC・コリア辺りの成果をしっかりと踏まえた骨芯にブレなき硬質快活アクションが、ウマみも満点の好インパクトを残す。(Mixed & Mastered by Stefano Amerio)

01. Ouverture
02. There's A Boat Dat's Leavin' Soon For New-York
03. Bess You Is My Woman Now
04. Here Come De Honey Man
05. I Got Plenty O' Nuttin'
06. My Man's Gone Now
07. Summertime
08. Can I Get An Amen (prayer) (feat. David Linx)
09. I Ain't Got No Shame
10. I Loves You Porgy
11. Bess Oh Where's My Bess
12. Gone
13. It Ain't Necessarily So

Pierre-Alain Goualch (piano except 07,08) (electric piano on 01,02,04,05?,07,08,10)
Diego Imbert (double bass)
André Ceccarelli (drums)

guest：
David Linx (voice→vocal on 08)

2020年12月,2021年1月 録音
(フランス作品）
Recording Enginered by Joel Fajerman
Mixed & Mastered by Stefano Amerio

レーベル：Trebim Music Ilona

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