CATFISH RECORDS

★ハイ・ファイヴやローマ・トリオ、サウンド・アドヴァイス、そして自己のトリオにセクステット等々、八面六臂の多忙多彩な活躍を続けてきた、ローマを拠点とするイタリアの敏腕ピアニスト：ルーカ・マンヌッツァ(1968年サルディニア島のカリヤリ生まれ)の、新トリオによるスタンダード中心の一編。

★透明感や潤いに富み、硬質で鋭角なキレのよさも備わった、がトータルとしては流麗潤滑なイメージのクリアー・タッチ・ピアノが、親しみやすい明快な歌謡性とバップ・ピアノならではの殺陣っぽい力学傾向をバランスよく掛け合わせた躍動感溢れるメロディック・スインギー・プレイ、をキリッと、シャキシャキと精悍に紡いで凛々しくも骨太くそして小粋な華を成し、
一方、ワイド&ヘヴィーにウネり跳ねる推進パワー抜群のベースや、精妙巧緻に空を刻んでゆくかのようなシャープネスと起爆感みなぎったドラム、らの活躍もグルーヴ感とスリル加えて豊かなウマみを的確に醸成して、全体の完成度を頼もしく高めた、終始徹底してストレートアヘッドな真っ向勝負の進撃が連続しスカッと昂揚させてくれる、胸のすく会心打内容。

★伝統的なハード・バップ・ジャズ特有のソリッド&スクエアーな真剣勝負のアクション性、苦味走った硬派な気魄、迫真力、といったタフ&ストロングめの側面と、「歌物派」の王道を行く豊饒なメロディー・センスや抒情性などの取っ付きやすいヒューマニティー、とを絶妙の均衡点で並立させた、全般に剛健な男気や勇壮さを顕示すると同時に気さくそうな適度に砕けた人情味も満載しての、大衆娯楽派ピアノ・トリオの正統らしい、歯切れよくサバサバした晴れやかな行き方が続き、風通しもよさげに直線コースをひた走る開放感一杯の道程の中で、マンヌッツァ(p)の、ここでは潔くシンプル・ストレートに「唄う粋渋バップ職人」になりきり、じっくり腰を据えて伸び伸びと情緒を活写し、ダイナミック・スイングしまくるド真っ当なアドリブ奮戦が、堂々かつ泰然と冴え渡っていて壮快だ。

→バップ・イディオムに則っての角張った凹凸感ある立ち回りや、熱気を孕んだモーダル・アグレッシヴな疾走力投、辺りの中々ハードなダイナミズム表現にさすが確固とした揺るぎない圧倒的説得力〜濃厚な魅力が遺憾なく揮われる反面、よりマイルド・テンダーでナイーヴなリリカル感覚や瀟洒な小唄性を潤沢にその内面から引き出しきった、温もりあるリラクシングなフレージングにも聴いていて思わずホッとする何げに醸熟なる妙味があって、興趣は結構多彩で噛み締めるほどにアジが出てくる卓抜さ。

1. It Could Happen To You イット・クッド・ハプン・トゥ・ユー
2. If Ever I Would Leave You イフ・エバー・アイ・ウッド・リーブ・ユー
3. Woody'n You ウッディン・ユー
4. Moon And Sand ムーン・アンド・サンド
5. Just One Of Those Things ジャスト・ワン・オブ・ゾーズ・シングス
6. Nobody Else But Me ノーバディ・エルス・バット・ミー
7. Zhivago ジバゴ
8. Airegin エアジン
9. East Of The Sun イースト・オブ・ザ・サン

Luca Mannutza ルカ・マヌッツァ (piano)
Stefano Senni ステファノ・センニ (bass)
Marcello Di Leonardo マルチェロ・ディ・レオナルド (drums)

2021年3月26日,27日,28日La Strada Italy録音

レーベル：ヴィーナスレコード

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国内制作CD