CATFISH RECORDS

★ジェシ・ハリス(g,vo)とのデュエット・チーム：Once Blueで1990年代に頭角を現し人気を集め、その後ソロとなって自主レーベルやFresh Sound New Talent、MaxJazz、Sunnysideから続々と独創性溢れる作品群を発表して高い評価を獲得、また故ポール・モティアンにも認められて共演レコーディング(2005年)(Winter & Winterより2006年にリリース)を残してもいる、NYシーンで活動を続け、主にアコースティック・ギターの弾き語りを最得意とする今やすっかりヴェテランとなったソングライター・タイプの女性シンガー(兼ギタリスト)、レベッカ・マーティン(1969年メイン州ラムフォード生まれ)。

★本盤は、ソロになってからの比較的初期の一枚、＝自身はヴォーカルに専念したカート・ローゼンウィンケル(g)やテナーサックス(ビル・マクヘンリー)らとの小コンボ体制による、2001年1月NJ州ホーボーケン録音の人気秀作(Fresh Sound New Talent原盤)、の限定復刻版。

★メロウ&アンニュイに妖しく響鳴するエレキギターや、地の底を這うようなダウン・トゥ・アースな渋いテナーサックス、にゆったりと導かれながら、線は細くトーンは高め、かつ張りとキレあるしなやかな爽涼ヴォイスが、歌詞とメロディーを大切にしてきめ濃やかに、丹念に語りかけるような、清楚でキュート、同時にちょっと物憂くけだるげでもある、独特のスモーキーな翳りを含んだメランコリック&レイジーな抒情派演唱を結構切々と紡いで、余情も深いセンシティヴで端正な華を恭しく成した、全般に優しく機微豊かで真心こもった何げに密度の高い好演内容。

★ギターとサックスを中心としたインスト・サイドの悠然として幽遠なる、それでいてしっかりデリケート&ジェントルな端麗浪漫演奏も利いて、音空間には絶えず「夜の静謐さ」や洒落たラウンジ的リラクゼーションが漂う、全体を通じインティメイトでハートウォーミングそして軽妙瀟洒な趣を呈した寛ぎバラード、タイプのマイルド・テンダーなアプローチを主眼とする作法に適った折り目正しい行き方が、ひたすら柔和温厚そうに続き、マーティン(vo)の、細かにニュアンスを込めてしっとりとスウィート・ロマンティックに囁くが如き切実で感動的な歌い回しと、よりブルージー&スウィンギンに小気味よく「ノリ」を体現する粋な吟醸小節、とを局面に応じて的確に使い分けた、さりげなくメリハリ充分で芸の細かい半ドラマティックな歌唱が終始洒脱に、しかも中々含蓄深く冴え渡って誠に爽快だ。

→現代流SSW肌っぽいちょっとポップでフォーキーな筆運びにもさすが十全に研磨され、練り上げられた卓越ぶりが認められるが、本盤ではむしろそれよりも、「スタンダード小唄」における、リリカル筋ジャズ・ヴォーカルの伝統にしっかりと揺るぎなく根を下ろした、誠実真摯で謙虚ともとれる全霊こもった歌表現、その奥深い研鑚の成果の顕れ様にこそ、唯一無二の殊の外瑞々しい真価が発揮されている感があり、格別。

01. The Sweetest Sounds 5:35
02. A Fine Spring Morning 3:51
03. The Midnight Sun 6:04
04. Dindi 5:25
05. How Do You Say Auf Wiedersehn? 4:24
06. Bewitched 5:32
07. Then A Wall Came Up Inside Me 3:11
08. One Flight Down 3:07
09. Ridin' High 3:26
10. Where Is Love? 3:26

Rebecca Martin (vocal)
Bill McHenry (tenor saxophone) (vocal on 04)
Steve Cardenas (nylon string guitar, electric bass)
Kurt Rosenwinkel (electric guitar)
Larry Grenadier (bass)
Jorge Rossy (drums)

2001年1月6日ニュージャージー州ホーボーケン＝HobokenのWater Music録音

レーベル：Fresh Sound New Talent

こちらで試聴できます。

在庫有り
限定復刻CD